アパート経営の初期費用相場|土地ありで新築と中古アパート購入の自己資金目安をシミュレーション

アパート経営の初期費用相場とシミュレーション

このコラムでは、アパート経営を始める際の初期費用の相場について解説します。

所有する土地にアパートを新築する場合と、中古アパートを購入する場合のそれぞれで必要な自己資金目安のシミュレーションも紹介。

土地活用や不動産投資を検討中の方は参考にしてくださいね。

 


コラムのポイント

  • アパート経営に必要な初期費用の目安は、所有する土地に新築する場合は本体工事費+20%、中古物件を購入する場合は物件価格+10%相場です。
  • アパートローンを利用する場合、自己資金は初期費用の30%前後確保することが望ましいです。物件の収益性や資産性によっても融資条件は変わるため、より有利な条件で借入ができる物件選びや事業計画の作成が重要です。

 

 

最適な土地活用

 

アパート経営に必要な初期費用とは

アパートを新築する場合の初期費用

アパートを経営する場合に必要な初期費用は大きく2つの項目に分けられます。

  • ①アパート建築にかかる費用
  • ②建築以外にかかる費用

それぞれにどんな費用がかかるのか詳しく見ていきましょう。

 

①アパート建築にかかる費用

 

本体工事費

アパートの建築費用は、構造や規模によって変わります。

住居専用住宅の平均坪単価(2023年度)

  • 木造…約68万円
  • 鉄骨造…約98万円
  • RC造…約100万円

(出典)建築着工統計調査を基に弊社集計

 

上記のように、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造の順に1坪あたりの平均坪単価は高くなります。

単身者用の1K×8部屋、延床面積60坪のアパートを建てる場合、木造・鉄骨造・RC造の建築費用相場は以下のようになります。

  • 木造:68万円 × 60坪 = 4,080万円
  • 鉄骨造:98万円 × 60坪 = 5,880万円
  • RC造:100万円 × 60坪 = 6,000万円

 

施工業者によっても単価は変化しますが、上記のように、同じ広さでも木造と鉄骨造/RC造では1,800~2,000万円近く建築費用相場が変わります。

木造と鉄骨造/RC造はそれぞれメリット・デメリットがあります。アパートを建てる際は、運用期間や売却益なども見越して、構造を考える必要があるでしょう。

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アパートを建てる費用はいくら?建築相場と必要な自己資金を解説

 

別途工事費

アパートの建築は建物本体の工事の他に、地盤改良やライフライン(給排水・電気ガス)、外構などの費用もかかります。

別途工事費は本体工事費の1〜2割程度を目安に考えておきましょう。

 

②建築以外にかかる費用

アパート新築のための土地購入費用

土地購入費用

土地を所有していない状態からアパートを新築して経営する場合は、土地の購入費用も必要です。土地費用はエリア・立地によって変動します。

収益性の高いアパートを建てるなら、賃貸需要がある資産価値が高い土地が必要になります。

土地取得費用を抑えるために資産価値の低いエリアを購入すると空室リスクが高くなります。賃貸経営全体のバランスを考え、適切な土地取得を目指しましょう。

 

アパート建築・購入時の諸経費

アパート建築・購入時の諸経費

所有する土地にアパートを建築する場合や、中古アパート(土地+建物)を購入する場合は以下のような諸経費がかかります。諸経費はアパート建築費用や購入費用の5~10%程度を見込んでおきましょう。

 

【中古アパート購入時】仲介手数料 物件価格×3%+6万円+消費税10%
地盤調査費 5万円~
アパートローン諸費用 ・アパートローン手数料…5~12万円前後
・アパートローン保証料…借入額の2%前後
(繰り上げ返済で支払った保証料の一部が返還される場合があります。)
登記費用 (新築)所有権保存登記…本体工事費×1/2×0.4%
(中古)所有権移転登記…土地購入費×1.5%、建物購入費×2%
(ローン利用時)抵当権設定登記…借入額×0.4%
不動産取得税 固定資産税評価額×3%(軽減制度あり)

〈所有している土地にアパートを新築した場合〉
家屋 固定資産税評価額-控除額(1,200万円)×3%
※軽減制度は40~240㎡(12.1~72.6坪)までの規模で適用

〈中古アパートと敷地を購入した場合〉
土地:土地の固定資産税評価額×1/2×3%
※軽減制度は令和9年3月31日まで
家屋:固定資産税評価額×3%

印紙税 建築工事請負契約および土地/アパート購入契約時に契約書に貼る印紙代

200円~6万円(契約金額によって変動)

司法書士への報酬 司法書士に手続き代行を依頼する場合の報酬

〈司法書士の報酬相場〉
土地・建物所有権保存登記…5~6万円
抵当権設定登記…4~5万円

火災保険・地震保険 約30~70万円(5年一括払いの場合)

 

(参考)
国税庁ホームページ|No.7191 登録免許税の税額表
財務省ホームページ|登録免許税に関する資料
千葉県ホームページ|不動産取得税
国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
日本司法書士会連合会|司法書士の報酬

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アパート経営に自己資金はいくら必要?

アパート経営に必要な自己資金の目安

アパートの新築または購入でアパートローンを利用する場合、自己資金は初期費用の1~3割が目安です。

初期費用が5,000万円の場合、自己資金は500~1,500万円程度が目安になります。

〈アパートローンの注意点〉

  • 住宅ローンよりも金利が高く返済期間が短い
  • 担保となる物件の評価によって融資額が制限されるケースがある
  • 構造によって返済期間が変わるケースがある

 

アパートローンの審査では、年収など個人の属性の他に物件の収益性や資産性なども考慮されます。自己資金が少ない場合でも、事業計画書等で収益性の見込みを示せれば、好条件で融資が受けられる可能性もあります。

自分の融資条件でどのようなアパートを建築・購入できるか、また自己資金の適切な割合は、不動産会社や建設会社、金融機関と相談しながら検討しましょう。

オカムラホームは、建築・不動産購入・賃貸経営までご相談いただける総合住宅会社です。アパート建築からアパートローン利用のための事業計画書のアドバイス、完成後の経営・維持管理まで、自社内でワンストップサポートします。

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【新築/中古】アパート経営に必要な自己資金のシミュレーション

【新築/中古】アパート経営に必要な自己資金のシミュレーション

所有している土地にアパートを建てる場合と、中古アパートを購入する場合にかかる初期費用と、必要な自己資金をシミュレーションしてみましょう。

 

所有する土地に新築アパートを建てる場合

〈前提条件〉

  • 建物:1K×8戸の2階建て木造アパート(60坪)
  • 坪単価:68万円
  • 建築費(本体工事費):68万円×60坪=4,080万円
  • 建築費(別途工事費):4,080万円×15%=612万円
  • 建物の固定資産税評価額:2,500万円
  • 建築費合計:4,692万円
  • アパートローン借入額:3,200万円

 

〈初期費用シミュレーション結果〉

アパートローン頭金
  • 1,492万円
地盤調査費
  • 5万円
アパートローン諸費用
  • アパートローン手数料:約10万円
  • アパートローン保証料:3,200万円×2%=64万円
登記費用
  • 所有権保存登記 4,080万円×1/2×0.4%=8.16万円
  • 抵当権設定登記 3,200万円×0.4%=12.8万円
不動産取得税
  • (2,500万円-1,200万円)×3%=39万円
    ※建築費の約6割を固定資産税評価額と仮定した場合の金額
印紙税
  • 1万円
司法書士への報酬
  • 約10万円
火災保険・地震保険
  • 約60万円(5年一括払い)
合計
  • 初期費用合計=約4,900万円(本体工事費の約1.2倍)
  • ローンを除いた自己資金合計=約1,700万円
  • 初期費用における自己資金割合=約34%

 

中古アパート(土地+建物)を購入する場合

〈前提条件〉

  • 建物:1K×8戸築20年の2階建て木造アパート(家屋60坪/敷地60坪)
  • 価格:4,000万円(土地2,200万円、建物1,800万円)
  • アパートローン借入額:3,200万円
  • 土地の固定資産税評価額:1,600万円
  • 建物の固定資産税評価額:1,200万円

 

〈初期費用シミュレーション結果〉

仲介手数料
  • 4,000万円×3%+6万円+消費税10%=138.6万円
アパートローン頭金
  • 800万円
地盤調査費
  • 5万円
アパートローン諸費用
  • アパートローン手数料:約10万円
  • アパートローン保証料:3,200万円×2%=64万円
登記費用
  • 所有権移転登記
    (土地)2,200万円×1.5%=33万円
    (建物)1,800万円×2%=36万円
  • 抵当権設定登記:3,200万円×0.4%=12.8万円
不動産取得税
  • (土地)1,600万円×1/2×3%=24万円
  • (建物)1,200×3%=36万円
印紙税
  • 1万円
司法書士への報酬
  • 約15万円
火災保険・地震保険
  • 約60万円(5年一括払い)
合計
  • 初期費用合計=約4,500万円(物件価格の約1.1倍)
  • ローンを除いた自己資金合計=約1,240万円
  • 初期費用における自己資金割合=約27%

 

アパート経営に必要な自己資金は、建築費用や物件価格、アパートローンの頭金などによって変動します。あくまで目安として参考にしてください。

また、どれくらい自己資金が用意できるのかによって、アパート建築のプランニング物件選びの選択肢も変わってきます。

安定経営を目指すなら、土地活用や不動産投資の目的を明確にし、出口戦略も含めて相談できる不動産会社や施工会社を選ぶのがおすすめです。

オカムラホームは、不動産・建築・賃貸経営をカバーする総合住宅会社です。アパート建築から完成後の経営・維持管理まで、自社内でワンストップサポートいたします。

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まとめ

アパート経営に必要な初期費用の目安は、所有する土地に新築する場合は本体工事費+20%、中古物件を購入する場合は物件価格+10%相場です。

アパートローンを利用する場合、自己資金は初期費用の30%前後確保することが望ましいです。物件の収益性や資産性によっても融資条件は変わるため、より有利な条件で借入ができる物件選びや事業計画の作成が重要です。

オカムラホームは、収益不動産の建築・購入・賃貸経営までご相談いただける総合不動産会社です。アパート建築からアパートローン利用のための事業計画書のアドバイス、完成後の経営・維持管理まで、自社内でワンストップサポートします。

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