不動産投資でできる税金対策3選|所得税や相続税が節税できる仕組みと注意点を解説

不動産投資でできる税金対策3選

このコラムでは、不動産投資によって可能な税金対策について解説します。

減価償却費と損益通算によって所得税、住民税を節税する方法や、賃貸物件の購入・建築によって相続税評価額を下げて税金を減らす仕組みなどを分かりやすく紹介。

サラリーマン(給与収入がある方)で、副業で不動産投資を始めたい方や、贈与税・相続税対策で賃貸物件の購入や建築を検討している方は参考にしてくださいね。

 


コラムのポイント

  • 不動産投資は、所得税や住民税、贈与税、相続税などのさまざまな税金対策につながる場合があります。
  • 不動産投資の目的はあくまでも長期的に安定した家賃収入を得ることです。物件選びの際には節税だけを目的とするのではなく、収益性やリスク、出口戦略なども十分に考慮して検討する必要があります。

 

 

 

最適な土地活用

 

不動産投資でできる3つの税金対策

不動産投資でできる3つの税金対策

不動産投資で節税できる可能性があるのは、以下の3種類の税金です。

  • ①所得税・住民税の節税
  • ②贈与税・相続税の節税
  • ③不動産投資の法人化による節税

次章から、それぞれが節税になる仕組みを分かりやすく解説していきますね。

 

①不動産投資による所得税・住民税の節税

不動産投資による所得税・住民税の節税

不動産投資による節税とは、具体的には「不動産投資による赤字を他の所得から差し引くことで、課税所得を減らして所得税・住民税を安くする」ことを指します。

不動産所得は、給与所得や事業所得と合算して課税される「総合課税」の対象となっているため、黒字所得から赤字所得を差し引く「損益通算」ができることを利用した節税方法です。

そして、不動産投資で会計上の赤字ができる理由は、建物の取得費を一定期間にわたって経費として計上できる「減価償却費」があるためです。

次に、不動産投資で減価償却によって赤字が計上されるケースと、損益通算によって節税になる仕組みを詳しく解説していきます。

 

減価償却によって帳簿上で赤字が計上されるケースとは

減価償却とは、時間経過によって価値が減っていく資産(減価償却資産)の購入費用を、資産ごとに定められた耐用年数に応じて分割して経費として計上することを指します。

簡単に言うと、「長く使う資産の購入費用は、使っている間、少しずつ経費にする」という考え方です。

例えば、不動産投資で建物価値が8,000万円のアパートを購入した場合、減価償却によって20年間で分割して経費計上すると、毎年400万円ずつの支出が発生するため、帳簿上の利益が減少します。

そして、減価償却費を含めた経費が家賃収入を超えると、帳簿上では赤字が出るということになります。

 

損益通算による節税の仕組み

次に、損益通算による所得税・住民税の節税の仕組みをシミュレーションで確認してみましょう。

〈シミュレーション条件〉

  • 40歳サラリーマンで給与収入が1,000万円
  • 不動産投資による赤字が200万円

 

通常の課税所得

給与収入が1,000万円で、配偶者、子どもがいない場合、控除を踏まえると通常の課税所得は以下の計算で657万円となります。

  • 給与収入:1,000万円
  • 給与所得控除:195万円
  • 給与所得:1000万円-195万円=805万円
  • 所得控除:基礎控除48万円・社会保険料控除100万円
  • 課税所得:805万円-48万円ー100万円=657万円

 

不動産投資の赤字を損益通算する場合の課税所得

不動産投資による赤字が200万円出た場合、不動産取得の損益通算で給与収入を1,000万円-200万円=800万円に圧縮できます。

  • 給与収入:800万円
  • 給与所得控除:190万円
  • 給与所得:800万円-190万円=610万円
  • 所得控除:基礎控除48万円 社会保険料控除100万円
  • 課税所得:610万円-48万円ー100万円=462万円

損益通算で給与収入が減ったことで、上記のように課税所得が175万円減らせます

 

(参考)

国税庁ホームページ|No.2260 所得税の税率

国税庁ホームページ|給与所得者と税

 

所得税額のシミュレーション

通常の所得税額と、不動産投資の損益通算で課税所得を圧縮した場合の所得税額はそれぞれ以下のようになります。

 

給与収入1,000万円の場合の所得税
  • 課税所得:657万円
  • 税率:20%
  • 控除額:42万7,500円

657万円×20%-42万7,500円=88万6500円

 

損益通算後の給与収入800万円の場合の所得税
  • 課税所得:462万円
  • 税率:20%
  • 控除額42万7,500円

462万円×20%-42万7,500円円=49万6,500円

 

節税額

88万6,500円-49万6,500円=39万円

 

(参考)国税庁ホームページ|No.2260 所得税の税率

 

上記の条件の場合、住民税も約20万円安くなるため、年間で所得税・住民税合わせて約50万円の節税になることがわかります。

 

②不動産投資による贈与税・相続税の節税

不動産投資による贈与税・相続税の節税

不動産を購入すると、現金よりも評価を下げられるため、贈与税・相続税対策につながります。

贈与税や相続税の計算に用いられる不動産の相続税評価額は、建物部分は固定資産税評価額、土地部分は主に路線価によって決まります。

固定資産税評価額や路線価は不動産の時価の7~8割になるため、同じ金額なら現金より不動産を贈与した方が、贈与税の節税になるという仕組みです。

さらに、不動産がアパートなどの賃貸物件である場合、「貸家建付地の評価減」「借家権による建物の評価減」が適用されるため、さらに評価額が下がることで節税額が大きくなります。

〈関連コラム〉

貸家建付地による相続税対策をわかりやすく解説|相続税評価額の計算方法もチェック

 

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③不動産投資の法人化による節税

不動産投資の法人化による節税

個人で不動産投資をする場合、所得金額が多くなるほど税率が高くなり、最大で45%の所得税がかかります。

一方、不動産事業を法人化した場合、所得には法人税が適用され、原則として税率は23.2%です。

(参考)国税庁ホームページ|No.5759 法人税の税率

不動産所得が多い場合は、法人化する方が節税に有利な場合があります。

※個人には個人住民税、法人には法人住民税、法人事業税も適用されます。

 

また、不動産事業を法人化し、家族を役員にすることで役員報酬に対する給与所得控除額を経費に計上できるため、所得を圧縮して所得税・住民税の節税になります。

子どもや孫などに不動産事業を引き継ぎたい場合は、役員にすることで計画的に財産を移転でき、結果として、贈与税や相続税の節税にもつながります。

ただし、不動産投資の法人化には手続きの費用や手間がかかるほか、サラリーマンの場合、副業とみなされる可能性があるなどのデメリットもあります。法人化の必要性や適切なタイミングは慎重に見極める必要があります。

 

不動産投資による節税を検討する際の注意点

不動産投資による節税を検討する際の注意点

結論から言うと、節税だけを目的とした不動産投資はおすすめしません

サラリーマンの場合、給与収入による所得税・住民税額が大きいほど、不動産投資による節税の恩恵も大きくなります。

一方、給与収入の所得税・住民税額がそもそも少ないケースでは、思ったような節税効果は得られないと言えます。

また、節税のために減価償却費の最大化だけを重視する物件選びをすることもリスクがあります。

アパート経営などの不動産投資の目的は、あくまでも長期的に安定した家賃収入を得ることです。購入した不動産で安定して利益を上げられないと、節税した分の意味がなくなってしまいかねません。

また、運用中の家賃収入だけでなく、最終的な売却金額まで考慮し価値が下がりにくい立地選びや建物価値の向上に努めないと、最悪の場合、贈与や相続時に負の財産になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

 

まとめ

不動産投資は、所得税や住民税、贈与税、相続税などのさまざまな税金対策につながる場合があります。

一定以上の給与収入や事業収入がある方は、主に減価償却費による不動産投資での赤字を損益通算することで課税所得を減らし、所得税、住民税の節税ができる場合があります。

また、資産は現金で所有するよりも不動産に換えた方が相続税評価額を抑えられるため、不動産投資をすることで贈与や相続時の税金を抑えられます。

また、不動産投資で一定以上の利益が安定してあげられている場合は法人化することで所得税、住民税の節税につなげられる場合もあります。

ただし、不動産投資の目的は、あくまでも長期的に安定した家賃収入を得ることです。物件選びの際には節税だけを目的とするのではなく、収益性やリスク、出口戦略なども十分に考慮して検討する必要があります。

物件選びから購入、経営計画、賃貸管理までを一括して任せられる不動産会社なら、きめ細かいアドバイスやサポートが期待できます。

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