空き家の相続前に確認すべき5つのこと|デメリットを知ってトラブルを回避
現代日本では空き家の増加が社会問題になっていますが、その原因はほとんどが相続によるものです。
すでにマイホームや仕事をお持ちの方にとって、ご実家を相続しても活用するのは難しいケースがほとんど。空き家は使わなくても固定資産税やメンテナンス費用かかるため、負担となり放置されてしまうことが多いのです。
今回は空き家相続で発生するデメリット、確認しておくべき5つのポイントを詳しく解説します。
コラムのポイント
- 空き家を相続するときにかかる費用、所有期間中に発生する費用それぞれチェックしておきましょう。
- 相続放棄で空き家の所有権は回避できますが、管理責任が残るケースもあるので注意が必要です。
Contents
空き家を相続するデメリット
空き家は財産の一部ではありますが、相続することで次のようなデメリットが発生するケースもあります。
相続税や登録免許税がかかる
誰も住んでいない空き家でも相続税は発生するため、特に使いみちがない場合は大きなデメリットになります。
被相続人が亡くなる前に住んでいた自宅は、一定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」で相続税評価額を80%減額できるケースがあります。しかし誰も住んでいない空き家は適用できないため、相続税の負担を軽減できません。
また空き家を相続登記する際に登録免許税も発生します。登録免許税は空き家の固定資産税評価額の0.4%になるため、資産価値によっては大きな負担になるケースも。
固定資産税がかかる
空き家を所有し続けることで、固定資産税の納付義務が発生するのもデメリットです。
誰も住んでいない空き家でも、固定資産税は一般の住居と同じ計算になります。固定資産税は毎年かかるランニングコストの一部なので、所有期間が長くなるほど負担は大きくなります。
また2023年に「空き家対策特別措置法」の改正案が閣議決定され、空き家の税金が3~6倍に上がる可能性も出てきました。今後空き家を相続する際は、特に注意すべきポイントになっています。
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管理に手間と費用がかかる
空き家も一般的な戸建て住宅と同じように管理やメンテナンスが必要ですから、手間と費用が大きな負担になるケースも少なくありません。
空気の入れ替えや通水、庭の草むしりなど基本的な管理だけでも、1日がかりになってしまうでしょう。遠方の空き家を相続した場合は、毎月5,000~10,000円の管理費用を払って委託するケースが多いです。
また10年に一度の外壁屋根塗装だけでも、100万円単位のリフォーム費用が発生します。前述した固定資産税と合わせると、かなりの費用負担になるでしょう。
解体費用がかかる
建物の維持管理費をなくすために解体するとしても、その分の費用がかかります。
空き家の解体費用は一般的に100万円単位になることが多いため、大きな負担となってしまいます。遺産の状況によっては、空き家を相続することでマイナスになってしまう可能性もあるわけです。
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倒壊や不法占拠などのリスクがある
管理や解体が難しい空き家を相続し、そのまま放置してしまうと、倒壊による賠償責任・不法占拠など犯罪に使われるリスクが発生します。
空き家が倒壊して周囲に被害が出た場合、多額の賠償金支払いが発生する可能性があります。管理が行き届かず明らかに空き家であることがわかる状態になると、ごみの不法投棄や犯罪者の不法占拠のターゲットになることも。
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空き家の相続前に確認すべき5つのこと
実際に空き家を相続する前に、次のポイントを確認してから判断しましょう。
①誰が相続するのか
相続が発生する前に、できれば空き家を含めた財産を誰がどのように相続するのか確認しておくことが大切です。
相続は順位が決まっていて、配偶者・子ども・孫の順番に被相続人が決まります。しかし順位だけで空き家を相続すると、管理できず放置せざるを得なくなる可能性があるのです。
遺言書は相続順位より優先されるため、親族で話し合って空き家を相続する方を決めておくとスムーズです。
複数の相続人で共有名義にする方法もありますが、売却・活用などに全員の同意が必要になり、トラブルの元になるケースも少なくありません。できれば一人の方が相続し、後の運用方法まで決めておきたいところです。
②どれくらいの費用がかかるのか
前述したように空き家相続ではさまざまな費用が発生しますので、税金や手数料、維持管理にいくらかかるのか事前に把握しましょう。
相続するためにかかる費用は、相続税・登録免許税です。空き家の評価額によって金額が変動するため、事前に確認しておかないと思わぬ出費であわてることになります。
相続後は固定資産税や都市計画税、管理委託やメンテナンスのためのランニングコストが発生します。こちらも空き家の規模や状態によって費用が変動するので、なるべく正確な金額を把握しましょう。
③空き家以外にどんな財産・負債があるか
相続時は空き家などの不動産だけでなく、証券・自動車・貴金属などすべての財産が対象となります。また住宅ローンなどの借入金も、マイナスの財産として相続対象となるので要注意。
全体でどれくらいの財産・負債があるのか把握しておかないと、相続でマイナスが発生してしまう可能性もあるのです。
空き家の維持管理・処分費用、マイナスの財産が大きい場合は、財産全体を相続放棄するのも一つの選択肢です。
④資産価値や需要があるか
空き家そのものに資産価値や賃貸需要などがあるかも、相続前にしっかり確認すべきポイントです。
資産価値があれば売却できる可能性が高いですが、評価額も高くなり税金の負担も大きくなるので要注意。譲渡所得が発生した場合、売却益に対しても税金が発生します。後述する空き家の譲渡所得3,000万円特別控除などを活用して、税金の負担を抑える必要があります。
また賃貸需要が高いエリアの空き家なら、リフォームして賃貸経営したり、アパートや店舗などに建て替えたり活用の幅も広がります。
逆に言えば、資産価値や需要がない空き家を相続すると、売却や活用が難しく大きな負担になってしまう可能性があるということです。
⑤優遇措置を活用できるか
空き家の相続によって発生する税金を軽減するために、優遇措置を活用できるかも事前に確認しておきましょう。空き家の優遇措置は主に次の2つです。
空き家の譲渡所得3,000万円特別控除
空き家を相続後に売却する場合、要件を満たすことで譲渡所得から3,000万円を上限に控除できる制度です。
※空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の主な要件
- 亡くなった方が一人で暮らしていた自宅
- 昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建て
- 相続後にずっと空き家であった
- 耐震基準を満たしている
- 相続後3年目の12月31日までに売却する
上記の主な要件を満たしている空き家は、譲渡所得3,000万円以内であれば税金が発生しません。
小規模宅地等の特例
相続する空き家の土地の相続税を減額できる制度です。適用すると土地の相続税評価額を80%減額できます。
原則的には相続直前まで同居していたケースが対象となりますが、入院や老人ホーム入居をしていた場合は適用できる可能性があります。
参照元:国土交通省 小規模宅地等の特例
空き家の相続放棄は回避方法になるか?
空き家の資産価値が低く、ほかの財産と合算してもマイナスが大きい場合は相続放棄を検討するケースも多いです。
相続放棄すれば空き家の所有権や納税義務はなくなりますが、管理義務が残るケースがあるので要注意。例えば相続人が全員相続放棄した場合、空き家を管理する「財産管理人」が決まるまでは管理義務だけが残ります。その状態で空き家が倒壊して被害が発生したら、損害賠償を求められる頃になるのです。
相続放棄で単純に空き家の管理責任を回避できるわけではないので、ほかの方法も踏まえてしっかり検討しましょう。
まとめ
空き家は財産の一つではありますが、相続することで費用や手間の負担が増加してしまうケースもあります。できれば相続前に重要なポイントを確認し、後で困ることがないように準備しておきましょう。
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