賃貸経営は儲からないと言われる理由と失敗を防ぐ取り組み方|利回りや税金など基本解説
アパートやマンションなどの賃貸経営は、資産運用の中でもポピュラーな選択肢です。しかし賃貸経営について情報収集をしていくと、「儲からない」「失敗リスクが高い」といった意見も散見されます。
今回は賃貸経営が儲からないと言われてしまう理由を掘り下げ、失敗を防ぐための取り組み方も解説します。
アパート・マンション・一戸建てなどどの物件でも、利回りの目安や税金など、賃貸経営で知っておくべき基本情報をチェックしていきましょう。
コラムのポイント
・賃貸経営のメリットとリスク両方を把握するのが失敗を防ぐコツです。
・家賃収入にかかる税金、個人事業主や法人化など、オーナーとして知っておきたい基本情報も解説します。
Contents
どんな商売も儲かる人・儲からない人が居る
最初に結論からお伝えすると、賃貸経営は必ずしも儲からないわけではありません。不動産・住宅業界に限らず、どんな商売においても儲かる人・儲からない人は存在します。
賃貸経営のメリット・デメリットを正確に把握し、リスクの少ない経営計画を立てれば、安定した家賃収入を得ることは不可能ではありません。
はじめての賃貸経営だと不安も多いですが、一つずつ情報を精査して計画を立てていくことが大切です。
まずは基本的な情報を正確に把握して、しっかり利益を出せる賃貸経営計画を立てていきましょう。
賃貸経営は儲からないと言われる理由
賃貸経営が儲からないと言われることが多いのは、次のようなリスクがあるためです。
理由①:投資額が大きく借入が発生する
戸建て・アパート・マンションどのような物件でも、賃貸経営にはある程度の初期投資が必要になります。全額自己資金で賃貸経営をはじめる方は少ないため、借入による月々の返済と支払利息が経営を圧迫するという意見が多いようです。
確かに自己資金率が低いと毎月の返済額が大きくなり、赤字経営になるリスクは高くなります。しかし投資額・家賃収入・メンテナンスコストなどの数字を正確に把握すれば、このようなリスクは回避できます。
理由②:満室が続くとは限らない
新築して数年は入居者が見つかりやすい状態でも、築年数が経つほど入居率が下がるのも賃貸経営が儲からないと言われる理由の一つ。
築年数が経つと内外装の見た目が古くなるだけでなく、間取りや設備が時代のニーズと合わなくなり、次の入居者が見つかるまでの期間が長くなる傾向があります。入居率が下がると家賃も下げざるを得なくなり、利益を圧迫するケースも。
賃貸経営計画を立てる際は、常に満室の状況を想定するのではなく、入居率の変化まで見据える必要があります。また築年数が経っても需要が落ちない地域を選んだり、適切なメンテナンスを行ったりすることも大切です。
理由③:メンテナンスコストが掛かる
賃貸物件は年数が経つほどメンテナンスコストが掛かるのも、儲かりにくいと言われる原因です。
例えば木造アパートは10年前後で外壁・屋根塗装が必要になり、建物の規模に応じて100万円単位の費用が掛かります。築年数が経つほどメンテナンスの種類と費用も増えていくため、家賃収入を圧迫してしまうというワケです。
しかし、このようなメンテナンスコストは計画段階で必要経費に盛り込んでおけば問題ありません。詳しくは後半に解説する「実質利回り」の考え方もご覧ください。
理由④:家賃相場が下がる
少子高齢化により人口が減少している日本では、空き家率の増加によって賃貸需要が減少し、家賃相場も下がるのではないかという見方もあります。
確かに日本の家賃相場は2000年代から大きく変動しておらず、全体としては今後相場が下がっていく可能性は考えられます。しかし賃貸ニーズがゼロになるわけではないため、しっかり需要のある物件を経営し安定収入を目指すことが重要になるでしょう。
理由⑤:不動産の幅広い知識が求められる
ここまで挙げてきた4つのリスクを回避するには、不動産・建築に関する幅広い知識が求められます。一般の方がこれらの知識を身につけるのは大変なことであり、儲かる経営をするのは難しいと言われる一因となっています。
しかしはじめて賃貸経営に臨む方も、不動産のノウハウを持つ会社のサポートを受ければ、黒字経営をするのも難しくありません。
詳しくは後半の取り組み方をチェックしてみてください。
賃貸経営のメリット
長期的に不労所得を得られる
資産運用の中でも、賃貸経営は比較的安定的に長期間不労所得を得やすい手段です。
公務員や会社員の方でも一定規模以下の賃貸経営なら副業とみなされないケースが多く、給与以外の貴重な収入源となります。
また収入が減る老後も、賃貸収入があると安定した生活を送りやすくなります。
節税効果が期待できる
土地をお持ちの方は、そのまま空き地にしておくより賃貸経営したほうが節税効果を得られるのも大きなメリット。固定資産税の優遇措置で毎年の費用負担を軽減できます。
また相続時も賃貸物件を建築してからの方が、現金より相続税の節税につながります。
また確定申告でアパート経営に掛かった経費を、家賃収入や給与から控除できるケースも。
安定した資産になる
土地・建物は資産の中でも比較的価格変動が少なく、将来の安定した資産になるのもメリットの一つです。
安定した家賃収入が得られる賃貸物件なら売却益も期待できるため、急に現金が必要となったときの選択肢にもなるでしょう。
賃貸経営の利回りはどれくらいが目安?
賃貸経営において重要な利回りは、「表面利回り」「実質利回り」の二種類があります。
- 表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格
- 実質利回り = (年間家賃収入 - 経費) ÷ 物件価格
表面利回りは年間の家賃収入を購入価格で割った数字です。仮に土地+建物で5,000万円のアパートの年間家賃収入が500万円の場合、表面利回りは10%となります。利回り10%の賃貸物件は、10年で初期投資を回収できる計算になります。
実質利回りは家賃収入から修繕費・管理手数料・税金などの経費を差し引いて計算するため、より実際の賃貸経営に近い数字です。
不動産物件情報に掲載されている利回りは、基本的に表面利回りが多いです。しかし実際の賃貸経営では、空室による家賃収入減やリフォームなど出費などの要素も加味しなければいけません。購入する土地や建物を選ぶ際は、実質利回りで考えるようにしましょう。
賃貸経営の実質利回りはエリアや物件価格によって異なりますが、一般的に5~10%が目安と言われています。
賃貸経営の失敗を防ぐ取り組み方
選択肢ごとのメリット・デメリットを把握する
賃貸経営では、さまざまな選択肢のメリット・デメリットを比較検討し、状況に合わせて選ぶ事が重要になります。
手に入れた少ない情報だけで経営判断をすると、間違った選択で失敗する可能性が高くなります。
より多くの選択肢を正確に把握することで、失敗リスクの低い賃貸経営を組み上げることができるのです。なるべく広い視野で情報収集をして、選択肢を増やすことを心がけてみましょう。
資金計画に余裕を持つ
ギリギリの資金計画を立てると、急な出費や空室率の上昇などで赤字経営になる可能性が高くなります。どんなに条件の良い賃貸物件でも、常に満室の状態が続くとは限りません。前述した表面利回りだけで計画を立てると、雨漏りなど緊急の出費で赤字になってしまいます。
ローン返済額、手元に残す現金など、長期スパンで余裕のある資金計画を立てるのが失敗を防ぐポイントです。
ノウハウのある会社のサポートを受ける
これから賃貸経営をはじめる方は、まず物件選び・経営計画・管理業務のノウハウが豊富な会社のサポートを受けるのがおすすめです。
前述したように賃貸経営では市場動向、建築知識、物件管理など、幅広い知識が求められます。一般の方がいきなりこれらの知識をカバーするのは難しいため、自力で経営すると失敗するリスクが高くなります。
賃貸経営のノウハウが高い不動産会社に相談すれば知識力をカバーできるため、失敗リスクを軽減できる可能性が高いです。
賃貸経営はどんな税金がかかる?
賃貸経営で家賃収入が発生した場合、どれくらい税金がかかるのかも気になるポイントです。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 個人事業税(10室以上の物件)
- 消費税(駐車場や事務所、または不動産所得が1,000万円を超えた場合)
所得税・住民税・固定資産税は、賃貸経営を行う上で必ずかかる固定費となります。個人事業税・消費税は一定の条件を超えると課税される税金です。どれくらいの税金がかかるのか把握し、実質利回りを計算するようにしましょう。
このような賃貸経営の税金は、確定申告で経費を計上することで節税することができます。アパート経営のために使った経費は計上できるため、領収書やレシートなどをしっかり保管しておきましょう。また個人事業主として青色申告をすると経費計上できる科目が増え、最高65万円の特別控除を受けられるなどのメリットもあります。確定申告の手間は少し増えますが、節税効果は大きいのでなるべく青色申告を検討してみましょう。
賃貸経営は個人事業主・法人化どっち?
個人事業主として賃貸経営が軌道に乗って売り上げが増えてきたら、法人化を検討する方も多いです。
賃貸経営の法人化には、メリット・デメリット両面があります。
※法人化のメリット
- 売上が多いと節税効果が大きくなる
- 経費計上できる範囲が広い
- 赤字の繰り越し控除で有利
- 役員報酬や給与で所得を分割できる
- 相続税対策になる
一般的には所得が1,000万円を超える場合は、法人化した方が所得税などを抑えられると言われています。また経費計上や損失の繰り越し、家族内での所得分割など、経営面のメリットも大きいです。
※法人化のデメリット
- 手続きが煩雑で初期費用も掛かる
- 売却時の税金が高くなる
- 経営費用は個人より高くなる
- 税務調査が入る可能性が高くなる
一方法人を設立するためにはさまざまな手続きが必要になり、初期費用も掛かるのはデメリットと言えます。賃貸経営に掛かる費用も増加するため、売り上げ規模が小さいとかえって収益を圧迫してしまうケースも。
このように法人化にはメリット・デメリット両面あるため、一概にどちらが良いとは言えません。まずは個人事業主として賃貸経営をスタートして、売上が増えてきたら信頼できる不動産会社や税理士などに相談するのが良いでしょう。
まとめ
賃貸経営は儲からないと言われることも多いですが、リスクを把握してしっかり対策すれば、安定した家賃収入を得るのは難しくないでしょう。
はじめて賃貸経営に臨む方は、信頼できる不動産会社のサポートを受けることが大切です。
私たちオカムラホームは、千葉県八千代市を中心に賃貸物件の購入や建築、経営計画の立案から管理までワンストップでお手伝いする会社です。賃貸経営のことならなんでもご相談ください。