事業用不動産投資のメリット・デメリット|補助金は使える?
不動産投資といえばマンションやアパートがメジャーですが、店舗やオフィスなどの事業用不動産も選択肢の一つです。
事業用不動産は大きな家賃収入が期待でき、キャピタルゲインも狙いやすいのがメリット。ただし初期費用が大きくなり、景気の影響を受けやすいといったデメリットもあります。
今回は、事業用不動産投資のメリット・デメリット両面を掘り下げてみましょう。
コラムのポイント
- 事業用不動産は住居・店舗・オフィスなどさまざまなジャンルがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
- シェアハウス・民泊・社宅など、現代のニーズに合った事業用不動産も検討しましょう。
Contents
事業用不動産とは?
利益を上げるために取得・保有する不動産物件のことを事業用不動産と呼びます。
企業のオフィスや店舗が入る商業系、マンションやアパートなど家賃収入や売却益を得るための居住系など幅広いジャンルがあります。収益を生む物件はすべて事業用不動産に含まれますが、店舗・オフィス・企業向けの物件だけを指すことも多いです。
事業用不動産の種類
一口に事業用不動産と言っても種類はさまざまで、それぞれ特徴も異なります。まずは基本的な選択肢を押さえておきましょう。
住居系賃貸物件
住居として貸し出すことで家賃収入を得る賃貸物件も、事業用不動産に含まれます。
※住居系賃貸物件の種類
- 区分マンション
- 一棟アパート
- 戸建て
上記のように住居系賃貸物件は大きく分けて3種類。
区分マンションは1部屋から購入できるため、これから不動産投資を始める方に人気の選択肢です。一棟アパートは初期費用が高くなりますが、部屋数が多いため大きな利益を狙えるのがメリット。経営規模をどんどん拡大していきたい方に向いていると言えるでしょう。
戸建て賃貸は競合が少なく、ファミリー層がメインになるので長期契約と安定した家賃収入が期待できます。
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シェアハウスや民泊施設
近年注目を集めているシェアハウスや民泊施設も、事業用不動産としてメジャーな選択肢になりつつあります。
シェアハウスや民泊施設は、一般的な賃貸物件より収益性を高められるのが大きなメリット。例えば一戸建てをシェアハウスに改装して複数の入居者に貸し出せば、1組に賃貸するより家賃収入は大きくなります。また民泊で高い回転率をキープできれば、賃貸物件より収入が大きくなるケースが多いです。
ただしシェアハウス・民泊は賃貸物件より管理の手間とトラブルリスクが高いため、運用面でのデメリットはあります。また歴史の浅い民泊は法整備の途中なので、法改正が経営に影響する可能性も考えられます。
オフィスビル
企業が事務所を構えるオフィスビルも事業用不動産の一種です。住居系事業用不動産より賃料相場が高く、平均入居期間が長いため安定した収益が期待できるのが特徴です。コロナ過ではテレワークに切り替える企業が増えましたが、徐々にオフィスワークの需要が戻りつつあり、今後も安定した需要が期待できそうです。
参照元:日経XTECH テレワーク実施率が低下傾向、危惧される自主退職者の急増
オフィスビルは入居時に数か月分の保証金を設定するのが一般的で、家賃滞納によるキャッシュフロー悪化リスクが少ないのもメリット。オフィス需要の高いエリアなら資産価値が下がりにくく、売却しやすいのも特徴です。
取得費用は高額になりますが、安定した高収益を狙うなら検討したい選択肢の一つと言えるでしょう。
テナントビル
店舗が入居するテナントビルも、住居系より高い収益が期待できる事業用不動産です。
テナントビルは立地が良ければ借り手を見つけやすく、賃料も高く設定できるため大きな家賃収入を得られます。住居系より長期入居が期待できるのもオフィスビルと同じです。またテナントビルはさまざまな業種が対象になり、入居者自ら内装工事を行う事が多いのも特徴。原状回復費用がかからないのは、大きなメリットと言えるでしょう。
ただしテナントビルは立地が重要で、利便性が悪いエリアだと空室が多くなる傾向があります。好立地な物件は販売価格も高くなるので、初期費用も大きなハードルになります。景気に入居率や資産価値が左右される傾向が大きいのも注意すべきポイントです。
ホテルや旅館などの宿泊施設
宿泊施設は取得費用が大きい反面、高い利回りや収益性も期待できる事業用不動産です。コロナ過で多くのホテルや旅館が影響を受けましたが、2023年は前年比で宿泊者数が増加しており、チャンスがありそうです。
参照元:観光庁 宿泊旅行統計調査(令和5年1月・第2次速報、令和5年2月・第1次速報)
前述した民泊より単価が高く、営業日数なども自由なので、稼働率を高められれば大きな収益につながります。市街地のビジネスホテル、リゾート需要を狙う大型ホテルや旅館など、資金や経営方針に合わせて規模を調整することも可能です。最近はアパートをホテルに改装するなど、空き家活用事例も。
参照元:PR TIMES 空き家再生のビジョナリー、湘南の空きアパートをリユースしたエコフレンドリーなコミュニティホテルを出店
ある程度の自己資金と経営ノウハウが求められるものの、大きな利益を狙うなら検討したい事業用不動産と言えるでしょう。
社員寮/社宅
法人向けの民間社員寮や社宅も代表的な事業用不動産の一つです。社員寮や社宅を用意できる企業はある程度の経営規模があり、安定した家賃収入が期待できるのが大きなメリット。個人向け賃貸物件より長期契約が期待でき、複数戸をまとめて借り上げてもらえることが多いのも魅力的です。
ただし社宅制度の廃止や契約終了などで、一気に空室になるリスクがあるのは要注意。契約する企業の売上や経営状況なども把握しておく必要があるでしょう。
事業用の土地
建物ではなく土地を購入して、事業目的で貸し出すのも事業用不動産投資の選択肢です。一般的には、工場・物流倉庫・研究所といった目的に使う土地を指すことが多いです。
最近はインターネット通販の増加により、配送センターや物流倉庫の需要も増えています。事業用地は定期借地権を結ぶケースが多く、数十年単位で安定した地代収入を得られるのがメリット。定期借地権は契約期間が決まっていて更新が必須ではないので、土地を返還してもらえないリスクもありません。
ある程度の広さが必要なので初期費用が多めにかかり、交通の便なども考慮する必要があるのはデメリット。
事業用不動産投資のメリット
長期的に大きな利益を狙える
商業系・オフィス系の事業用不動産への投資は、住居系不動産より大きな利益を狙えるのがメリットです。テナントやオフィスの賃料は住居系より相場が高く、契約期間も長いので安定した利益を生み出します。
資産形成になる
安定した家賃収入を生む事業用不動産は価値が高く、資産形成や経営拡大などにも有利です。1軒目のローン完済後は、次の融資を受けやすくなりさらなる資産形成も狙えます。
事業用不動産投資のデメリットとリスク
ほかの投資よりは初期費用が大きい
小額で始められるほかの投資に比べて、事業用不動産投資は初期費用が大きくなるのがデメリットと言えます。ローン審査が厳しくなる、空室時の赤字リスクが高くなるなど、初期費用が大きいことのデメリットは多いです。得られる利益が大きい分、リスクもある事を理解し確実性の高い経営計画を立てる必要があります。
景気に左右されやすい
店舗やオフィスなどの事業用不動産は景気の影響を受けやすく、一気に空室となるリスクも考えられます。コロナ過では飲食・宿泊をはじめ、多くの業種が売上の縮小や撤退に追い込まれました。大きな社会変化が起きたときの影響を受けやすいため、常に最新情報をキャッチアップする必要があるでしょう。
長期保有によるリスク
事業用不動産は投資額を回収するまでの期間が長くなるため、需要の変化や金利上昇などのリスクも大きくなります。
保有期間中の収支をしっかりシミュレーションし、何が起きても対応できるマージンを取ることが大切となるでしょう。
事業用不動産購入に使える補助金はある?
店舗やオフィスといった事業用不動産は、取得費用を対象にした補助金制度はあまりありません。例えば経済産業省の事業再構築補助金は、不動産物件の取得費用に対して採択されない可能性が高いです。
しかし物件取得後のリフォームなどに活用できる補助金制度はあります。例えば国土交通省の先進的窓リノベ事業は、賃貸目的の住宅も対象になる可能性があります。
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不動産を取得する地域の自治体の補助金を活用できるケースもあるので、経営計画と併せて検討してみましょう。
まとめ
事業用不動産は、初期費用が多めにかかりますが、大きな利益を安定して得られる可能性があります。アパート・マンションへの投資に加えて、店舗・オフィス・宿泊などの事業用不動産も比較検討してみましょう。
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