市街化調整区域のメリット・デメリット|買わないほうがいいケースとは?
市街化調整区域は郊外の資産価値が低い土地というイメージが強く、自宅・賃貸などどのような目的でも「買わないほうがいい」と言われることが多いです。
しかし相場より安く買えるなどメリットもあるため、状況によっては検討する価値があるかもしれません。
今回は市街化調整区域のメリット・デメリット両方を詳しく掘り下げ、購入すべきか判断できるように準備しておきましょう。
コラムのポイント
- 市街化調整区域は購入費用・ランニングコストが安く、静かで広々とした環境を見つけやすいのがメリットです。
- 建築や建て替えが制限される、ローンが通りにくいなど、注意すべきデメリットもしっかり把握しましょう。
- 検討している土地が市街化調整区域かどうか調べる方法も紹介します。
Contents
市街化調整区域とは?
市街化調整区域は都市計画法で定められている区画で、「市街化を抑制すべき土地」のことを意味します。
乱開発が進むと都市としての機能がうまく働かないため、市街地が無秩序に広がるのを防ぐのが主な目的です。逆に積極的に開発を進めるべき区画は市街化区域に指定されていて、住宅や店舗などを建てやすくなっています。
市街化調整区域内は原則的に建物の建築が認められていません。しかし特定の目的のための建物の場合、建築が認められる可能性があります。
参照元:都市計画法
市街化調整区域のメリット
まずは市街化調整区域の土地を買うメリットについて見ていきましょう。
相場より安く買える
市街化調整区域は建築制限がかけられている分資産価値が低く、同じエリア内の相場より安く購入できるのが大きなメリットです。
自宅・不動産投資どちらのケースでも、初期費用を抑えられるのは有利なポイントです。土地購入費用を抑えて建物に予算を回したり、初期投資を抑えて早期回収したり、選択肢が広がります。
日当たりが良い土地が多い
市街化調整区域内は大きなビルや商業施設がつくられる可能性が低く、遮るものがないため日当たりの良い土地を見つけやすいのも魅力的なポイント。
マイホームの場合はもちろん、賃貸経営の場合でも、入居検討者に好印象を与えることができます。後から周囲に高い建物がつくられて、日当たりが悪化する可能性が低いのもメリットです。
交通量や騒音が少ない
市街化調整区域は基本的に郊外にあり、訪れる人が少ないため交通量と騒音が少ないのも特徴です。住環境としては理想的なため、マイホーム・賃貸物件にとって大きなメリットとなります。交通事故のリスクも少ないため、子育て世代の方にとってもメリットになるでしょう。
税金が安い
市街化調整区域は固定資産税評価額が低く、都市計画税の負担もないため税金が安くなるのもメリットの一つです。固定資産税は毎年発生するランニングコストなので、長期保有するほど差額も大きくなります。マイホーム・投資物件どちらの場合でも、魅力的なポイントですね。
市街化調整区域のデメリット
市街化調整区域には次のようなデメリットもあるため、あらかじめ確認・対策しないと後悔するケースも考えられます。
新築や建て替えが制限される
市街化調整区域内の開発行為には制限があり、都市計画法第三十四条の規定をクリアした場所でないと新築や建て替えができません。よく確認せず市街化調整区域を購入した場合、建物がつくれずマイホーム計画や投資計画が失敗してしまうリスクがあります。
自治体によって判断が異なるケースがあるため、必ず事前確認をしてから購入する必要があります。
できる商売が限られる
都市計画法では次のような規定があり、市街化調整区域内でできる商売が限られています。
主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
出典:都市計画法
市街化調整区域内の住民のために最低限必要な商店やサービス業、コンビニやスーパー、美容院などは開発許可される可能性があります。しかし大規模な店舗やアミューズメント施設など、必要以上の店舗は開発許可が下りない可能性が高いです。
投資目的で市街化調整区域を購入する場合、事前に業種や規模をしっかり吟味する必要があるでしょう。
インフラが整っていない
積極的な開発が行われない市街化調整区域は、下水道や都市ガスなどのインフラ整備は遅れる傾向があります。浄化槽の設置や維持管理のコストがかかる、ガス種類を選べないなどのデメリットが考えられます。
利便性が低い
店舗が少ない市街化調整区域は、利便性が低く住みにくいケースもあるので注意が必要です。急病のとき近くに病院がない、日用品の買い出しに時間がかかるなど、生活満足度に関わる重要な部分です。あらかじめどんな場所か把握してから購入しないと、大きな後悔をする可能性もあります。
ローンが通りにくい
ここまで述べたような理由から市街化調整区域は資産価値が低いとみなされ、ローン審査が通りにくいのも注意すべきポイントです。金融機関によっては、市街化調整区域のローン申し込みを受け付けていないケースも。仮に対応している金融機関でも、担保価値が低いため借入限度額や期間が制限される可能性があります。
集客が難しい
賃貸アパートや店舗を市街化調整区域に建てる場合、集客面で不利なことも大きなデメリットと言えるでしょう。
前述したように住環境は魅力的ですが、そもそも人口の母数が少ないのでエリア外からうまく集客する必要があります。店舗を開業する場合も、地域特性に合わせて広い商圏から集客できる業種やサービスを考える必要があるでしょう。
資産価値が上がる可能性が低い
大きな開発計画が期待できない市街化調整区域は、将来資産価値が上がる可能性はかなり低いです。市街化区域は再開発が行われるなど、地価が上昇して大きな売却益を得られる可能性があります。しかし市街化調整区域はそのような可能性がほぼ考えられないため、不動産売却益狙いでの投資には向いていないでしょう。
売却しにくい
用途が限られる市街化調整区域は、購入希望者が限られるため売却しにくい点も把握しておくべきデメリットです。絶対に売却できないわけではありませんが、時間がかかったり、思うような金額で売れなかったりする可能性が高いです。
補助金や優遇措置の対象にならない可能性がある
国や自治体としては市街化調整区域に建物をつくってほしくないため、建築補助金や税金の優遇措置の対象にならない可能性も考えられます。土地を安く購入できても、建築費用が余計に掛かる可能性があるのです。
市街化調整区域を買わない方がいいケース
市街化調整区域のデメリットを考えると、売却を視野に入れた不動産投資や、商圏が狭い商売には向いていないでしょう。
売却自体が難しく、資産価値の上昇によるキャピタルゲインも狙いにくいです。商圏人口が少ないので、地元向けサービスの店舗で大きく利益を上げるのも難しいでしょう。長期保有で安定したインカムゲインが期待できる賃貸物件、郊外ならではのサービスなど、確実な経営計画が求められます。
マイホームの場合も、利便性の低さが大きな課題になります。市街地ではできないのびのびとした生活を求める方以外は、市街化調整区域を買わない方が良いかもしれません。
市街化調整区域の調べ方
市街化調整区域の不動産は基本的に物件情報に記載されていますが、特定のエリアについて調べることもできます。
自治体が公表している都市計画マップでは、地図上で市街化調整区域の範囲を確認できます。
また市街化調整区域に該当するか判断が難しい物件は、自治体に問い合わせて確認することも可能です。建築許可が下りるかどうかなども含めて、購入前に確認すると失敗がないでしょう。
まとめ
市街化調整区域の不動産物件にはメリット・デメリット両方あり、目的や用途によって購入すべきかどうか変わります。フラットな視点で比較検討し、失敗や後悔を確実に回避しましょう。また同じ市街化調整区域内でも、エリアによって資産価値や用途は変わります。なるべく地域に詳しい不動産会社に、購入すべきかどうか相談してみてください。
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