空き家特例で上手に節税!3,000万円控除の要件をわかりやすく解説

空き家特例で上手に節税!3,000万円控除の要件をわかりやすく解説

この記事では、相続した空き家を売却した際に活用できる「空き家特例」の内容や適用要件をわかりやすく解説します。

遠方のご実家など空き家を相続した場合、管理の手間や税金の負担を考えて売却を検討する方は多いです。しかし売却益が発生する場合、譲渡所得税がかかります。空き家特例の適用要件を満たす売却方法なら、譲渡所得税を節約できます。

今回は空き家特例を適用させるための手順、必要書類、期限など、必要な情報をまとめてチェックしていきましょう。


コラムのポイント

  • 空き家特例の適用要件は複雑なため、相続・売却する前に基本的な内容を把握しておきましょう。
  • 解体して売却、兄弟で相続する、賃貸併用住宅など、空き家特例で注意すべきケースも紹介します。

空き家特例とは?空き家特例の対象となる戸建て

空き家特例は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」のことで、売却益にかかる譲渡所得が控除される制度です。空き家特例の目的は日本の社会問題になっている空き家増加を抑制することで、2016年につくられました。空き家の売却を促すことで、だれも住んでいない建物の老朽化や倒壊を防ぐことにつながります。

いくつかの要件はあるものの、相続した空き家を売却して得た譲渡所得の金額から3,000万円まで控除されるため、結果的に大きな節税効果を得ることができます。

例えば譲渡所得が1,000万円の場合、所有期間15年以上の長期譲渡所得税率は20.315%、200万円強の税負担が発生します。しかし空き家特例が適用できれば、譲渡所得3,000万円以内なら税金が発生しないのです。相続した空き家を売却する際は、空き家特例を上手に活用して節税につなげましょう。

空き家特例の要件

空き家特例で売却した戸建て住宅

空き家特例はただ相続した実家や空き家を売却しただけでは適用できず、一定の要件を満たす必要があります。まずは代表的な要件について確認しておきましょう。

※空き家特例の主な要件

  • 相続または贈与で取得した空き家を売却した
  • 相続直前まで被相続人が実際に住んでいた物件
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請を受けている
  • 土地と建物をセットで相続している
  • 相続から3年以内に売却している
  • 区分所有登記(マンションなど)ではない
  • 配偶者や直系親族ではない第三者に売却する
  • 売却金額が一億円以下
  • 一定の耐震基準を満たしている、または取り壊してから売却した
  • 相続してから売却するまでの間、自分で住んだり人に賃貸したりしていないこと

空き家特例は区分所有などのマンションでは適用できず、被相続人が実際に住んでいた自宅を相続して売却した場合に限られます。ただし介護が必要などの理由で老人ホームに入居していた場合は、空き家特例の適用が認められる可能性があります。

また建築基準法が改正された1981年以前の空き家に限定されるのも注意すべきポイントです。耐震基準が変更される前の「旧耐震基準」の家が対象になるため、耐震改修をするか、取り壊してから売却する必要があります。どちらの場合でも100万円単位の費用がかかるため、売却前に出費が発生する点は把握しておくべきでしょう。

節税金額より耐震補強や解体費用の方が高い場合、ほかの活用方法を模索するのも一つの考え方です。

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空き家特例の期限はいつまで?

税金が6倍になる可能性のある空き家

空き家特例の適用期限は、令和9年(2027年)12月31日までです。もともと令和5年12月31日までの期限でしたが、2023年の法改正によって4年間延長されることになりました。

ただし期限まで余裕があるからといって、空き家の売却を後回しにするのはおすすめできません。築年数が経つほど市場価値は低下し、所有期間中の固定資産税や維持管理費用なども発生するためです。

空き家特例の期限は一応頭に入れておいて、相続後はなるべく早めに売却するように心がけましょう。

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空き家特例の申請手順と必要書類

空き家特例のスケジュール

実際に空き家特例を受ける際の必要書類と手続き方法をチェックしましょう。

※空き家特例の必要書類

  • 譲渡所得の内訳書
  • 土地と建物の登記簿謄本
  • 管轄市町村の被相続人居住用家屋等確認書
  • 売却代金1億円以下を証明する売買契約書の写し
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書(耐震改修の場合)

まずは上記の必要書類を揃えます。被相続人居住用家屋等確認書は所轄の市町村から取得する必要があるため、早めに動いておきましょう。耐震性を証明する書類は、建物を解体してから売る場合は不要です。

手続きは所轄の税務署に確定申告の形で行います。仮に3,000万円の特別控除で納税額が0円の場合でも、必ず確定申告してください。確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日です。初めてで手順が不安な方は、税務署に事前相談するのがおすすめです。

空き家特例で注意が必要なケース

特定空家に認定された空家

次のようなケースは、空き家特例を受けられない可能性があるため注意が必要です。

引き渡し後に建物を取り壊すケース

中古住宅の売買契約では、引き渡し後に建物を取り壊す特約を結ぶケースも多いです。このパターンなら手付金や中間金などを受け取ってから空き家を解体できるため、現金の持ち出しやローンを組む必要が無いのがメリット。

ただし引き渡し後に空き家を解体する場合、空き家特例の3,000万円控除は受けられないため要注意です。建物をそのままで買い手を探す場合でも、必ず解体してから契約・引き渡しする必要があります。

介護などで子の家に同居していたケース

被相続人に介護が必要で、子や親戚の家に同居して亡くなった場合、空き家特例は適用できません。空き家特例が適用される可能性があるのは、老人ホームなどに入居していた場合のみです。間違えやすいポイントなので注意しましょう。

兄弟で空き家を相続するケース

兄弟などで空き家を共有名義で相続する場合、一人当たり3,000万円の控除を受けられます。しかし兄が建物、弟が土地のような相続方法だと、空き家特例が適用できません。空き家特例は建物と土地をセットで相続することが要件です。また分割協議書の記載内容によっては、一人しか空き家特例を受けられなくなるケースもあるので要注意。必ず事前に司法書士や相続に詳しい不動産会社などに相談しましょう。

敷地内に離れがあるケース

被相続人が住んでいた母屋以外に離れがある物件は、母屋の床面積部分のみ空き家特例の対象となります。譲渡所得が3,000万円以下でも税金の支払いが発生するため、慌てないように準備しておきましょう。

賃貸併用住宅のケース

相続した空き家が賃貸併用住宅の場合、相続時に空室でなければ空き家特例を適用できません。被相続人が亡くなったとき入居者がいた場合、一人暮らしとはみなされず要件を満たせないためです。また空き家特例を適用できる場合でも、賃貸併用住宅の場合控除対象は自宅部分のみとなります。

店舗併用住宅のケース

自営業などをしていた店舗併用住宅を相続した場合、自宅部分のみが空き家特例の対象となります。自宅部分が全体の床面積の90%を占める場合、建物すべてが対象になる場合もあります。ただし土地・建物の評価額は店舗部分も含まれるため、1億円を超えると空き家特例を受けられないため注意しましょう。

まとめ

空き家特例は相続した実家の売却にかかる税負担を軽減できる制度です。百万円単位の節税効果を得られる可能性もあるため、上手に活用しましょう。ただし適用要件が複雑で、耐震補強や解体費用がかかるケースも多いです。空き家をどのように扱うのが良いかはケースバイケースなので、できれば地元に精通する不動産会社に相談するのが良いでしょう。

オカムラホームは千葉県八千代市を中心に、空き家の売却・活用をサポートする総合住宅会社です。税負担・維持管理費用・家賃収入など、さまざまな要素を踏まえてお客様に適した空き家運用方法をご提案いたします。どんなこともまずはお気軽にご相談ください。

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