サブリース契約はやめとけと言われるのはなぜ?後悔を防ぐポイント
長期間の家賃保証があり経営・管理を一任できるサブリース契約は、投資初心者の方にとって魅力的な選択肢ではないでしょうか。
しかしサブリース契約にまつわるトラブルの話も多く、デメリットや失敗リスクも気になりますよね。
そこで今回は、サブリース契約の基本的な仕組みを分かりやすくまとめ、やめた方がいいと言われるデメリットを詳しく解説します。
後半では後悔を防ぐポイントも解説しますので、アパート・マンションの経営にお役立てください。
コラムのポイント
- サブリース契約とは賃貸管理契約の一種で、サブリース会社が一括借上げして入居者に転貸する仕組みのことです。
- 契約トラブルや賃料減額のリスクなど、サブリース契約のデメリットをしっかり把握しましょう。
- 信頼できる不動産会社を見つけて、確実に利益が確保できる経営計画を立てることがサブリース契約成功のポイントです。
Contents
サブリース契約とは?
サブリースとは「転借」のことで、不動産業界においてはサブリース会社が賃貸物件を一括借上げして、入居者に貸し出す仕組みのことです。
サブリース契約・管理委託契約・自己管理の違い
賃貸経営では、サブリース契約・管理委託契約・自己管理の3つの選択肢があります。
サブリース契約 | 管理委託契約 | 自己管理 | |
手数料の相場 | 10~20% | 3~10% | なし |
家賃保証 | あり | 原則なし | なし |
経営の主体 | サブリース会社 | オーナー | オーナー |
一般的な管理委託契約や自己管理ではオーナーが経営の主体となり、入居者と賃貸借契約を結びます。管理委託契約では空室保証契約を結べることもありますが、基本的に家賃保証はありません。
対してサブリース契約では、オーナーとサブリース会社が「マスターリース契約」を結んでアパートやマンションを一括借上げします。その後サブリース会社が入居者と「サブリース契約」を結び、オーナーには毎月一定の賃料が支払われる仕組みです。
サブリース契約のメリット・デメリット
※サブリース契約のメリット
- 空室リスクが無く家賃収入が安定する
- 管理と経営を一任できる
サブリース契約では空室率に関係なく一定の賃料が支払われるため、安定した収入を得られるのが大きなメリットです。またサブリース会社が主体となって経営・管理をするため、オーナーの時間・精神的な手間も軽減できます。
※サブリース契約のデメリット
- 手数料が高い
- 経営方針を変更できない
- ずっと家賃保証がつづくとは限らない
サブリース会社が空室リスクを引き受けてくれる反面、管理委託契約より手数料が高いのはデメリットです。周辺の家賃相場より安い賃料を設定することも多く、自分で経営するより家賃収入は少なくなります。
契約期間中はオーナー都合で売却や解約ができないため、需要の変化などに合わせて経営方針を変えられないのもデメリット。
また詳しくは後述しますが、同じ家賃収入をずっと保証してもらえるとは限りません。賃料減額やサブリース会社の倒産など、収入が減る・無くなる可能性もあるのです。
サブリース契約はやめとけと言われる理由
オーナーにとってメリットがたくさんありそうなサブリース契約ですが、「やめとけ」「後悔した」などネガティブな意見も多く目にします。なぜ否定的な意見が多いのか、理由を一つずつ見ていきましょう。
契約についてのトラブルが多い
サブリース契約はやめとけと言われる大きな理由として、実際に多くのトラブル事例が報告されていることが挙げられます。
消費者庁では、サブリース契約のリスクやデメリットを説明せず契約をしてしまい、トラブルに発展するケースを挙げて注意喚起しています。
参照元:消費者庁 サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!
2020年12月にはサブリース新法と呼ばれる「賃貸住宅の管理業務などの適正化に関する法律」が施行され、トラブルを未然に防ぐための取り組みが強化されています。逆に言えば、法律で規制する必要があるほど、サブリース契約に関するトラブルが多いということです。
具体的なトラブル原因やリスクは、この後一つずつチェックしていきましょう。
賃料減額のリスクがある
サブリース契約期間中も賃料減額される可能性があり、オーナーと不動産会社の間でトラブルに発展するケースが多いです。
一般的なサブリース契約では、家賃相場や空室率の変化に応じて、数年に一度賃料の見直しをする契約内容が多いです。数年後に大幅な賃料減額交渉を持ちかけられ、契約時の話と違うとトラブルになることが多いようです。
原状回復・リフォーム費用はオーナー負担
契約内容にもよりますが、一般的に原状回復やリフォーム費用はオーナーが負担します。
しかし業者選定や工事内容はサブリース会社が決めることが多く、多額の見積もりで費用負担について揉めるケースも多いようです。
契約時に費用負担を把握しておらず、数年後に請求が来てトラブルになったという事例も。
オーナー都合で解除できないことが多い
サブリース会社は基本的にオーナー都合で解除するのが難しく、柔軟な対応ができない点もリスクの一つ。サブリース契約ではオーナーが貸主・サブリース会社が借主となります。借地借家法では借主の権利が強く保護されているため、貸主であるオーナーの立場が弱いのです。
もし賃料減額されて赤字状態になっても、売却などで対応できません。
サブリース契約の後悔を防ぐポイント
前述したようなサブリース契約のデメリット・リスクに対応し、後悔を防ぐためのポイントを覚えておきましょう。
管理委託と比較検討する
サブリース契約に最初から決め打ちするのではなく、管理委託契約と比較検討するのが後悔を防ぐポイントです。
管理委託契約でも、入居者募集や家賃回収、建物の維持管理などほとんどの業務は任せることができます。確実な賃貸需要が期待できる立地にアパートやマンションを建てるなら、管理委託契約の方がメリットは大きいかもしれません。
それぞれのメリット・デメリットをしっかり比較検討して、経営方針にあった方を選びましょう。
分からないことは明確にする
サブリース契約のトラブルのほとんどは、契約内容が明確になっていないことが原因です。
家賃保証の金額や期間、契約期間や解除条件など、すべての項目に目を通して分からないことがない状態にしましょう。
分からないことはうやむやにせず、必ず質問してご自身でも調べることが大切です。
エリアの家賃相場を調べる
家賃保証の金額が適正か判断するために、エリアの家賃相場を正しく把握しておくことも大切です。家賃相場を知らないと、安い保証金額で契約して後悔してしまう可能性があります。
建築予定の物件と似た間取りの賃貸住宅を調査して、家賃相場をしっかり把握しましょう。
修繕費用がいくらかかるのか把握する
契約期間中にどのようなメンテナンス・修繕が発生して、いくらぐらい費用がかかるのかも事前に把握すべき情報です。
修繕費用が分からないままサブリース契約すると、思わぬ出費で赤字になり、ローン返済が滞ってしまうリスクがあります。
原状回復・空室対策リフォームなど、期間中に考えられる工事と費用をすべてリストアップし、長期資金計画を立てましょう。
強引な勧誘に流されない
メリットを強調した誇大広告や強引な勧誘手法に流されないことも、サブリース契約の後悔を防ぐ大切なポイントです。
誇大広告や不当勧誘は法律で明確に禁止されていますが、逆に言えば、そのような業者が後を絶たないということです。ご自身の意思を明確に持ち、正しい判断をすることが後悔を防ぐことにつながります。
参照元:賃貸住宅経営(サブリース方式)において特に注意したいポイント
失敗しないサブリース会社選びとは?
ここまで解説したようにサブリース契約にはさまざまなリスクもありますが、信頼できる会社を選び、堅実な経営計画を立てれば回避することも可能です。
※失敗しないサブリース会社選びのポイント
- メリットだけでなくリスクもしっかり説明してくれる
- 賃貸経営・管理の実績が多い
- 地域の相場や賃貸需要について詳しい
- サブリース契約内容の柔軟性が高い
サブリース契約は良い部分だけではありませんから、リスクやデメリットもしっかり説明してくれる会社を選びましょう。また家賃保証があると言っても、確実に家賃収入が続く物件づくり・経営計画を立てることも大切です。賃貸経営や管理の実績が多く、建てる地域の賃貸市場に詳しい会社のサポートを受けるのが望ましいです。
また、サブリース契約内容の柔軟性が高く、経営方針に合わせて選べる会社も安心感があります。例えばオカムラホームでは、一括借上げだけでなく、半分はサブリース・もう半分は委託管理契約といったプランにも対応しています。
サブリース契約の安定感と委託管理契約の収益性を組み合わせることで、それぞれのリスクを軽減して安定した経営を目指すこともできます。
オカムラホームはアパートやマンションの建築、経営コンサルティング、賃貸管理まで一括自社管理体制でサポートいたします。サブリースはもちろん、管理委託契約にも対応していますので、賃貸経営のことならなんでもご相談ください。