親の死後家の処分費用はいくらかかる?遺品整理や解体費用の料金相場
ご両親の死後、遠方の実家を相続する場合、売却を検討する方が多いと思います。しかし売却前に相続登記や遺品整理などさまざまな費用が発生するため、ある程度現金を用意しておかなければなりません。料金相場を把握しておかないと、売却活動でお金が足りなくなってしまう可能性もあるのです。
そこで今回は、実家の売却までにかかる費用・売却後にかかる費用を項目別にピックアップし、料金相場をまとめます。家の処分にかかる大まかな費用が分かるようになっていますので、ぜひ相続準備にお役立て下さい。
コラムのポイント
- 相続税や登記費用など、売却前に必要になる費用を把握しておきましょう。
- 仲介手数料・印紙税・譲渡所得税など、売却後に必要となる費用も複数あります。
Contents
親の死後、家を処分する方法
相続した実家を処分・手放す方法は、次のようにいくつかのパターンがあります。
- そのまま売却
- 解体して更地で売却
- 直接買取を依頼
- 相続放棄
- 相続土地国庫帰属法
特殊なケースを除き、基本的には売却や買取で処分することがほとんどです。ただし、そのまま売却するのか、解体して更地で売却するのかなど、どのパターンが良いかはケースバイケース。また仲介売却だと時間がかかりそうな場合、不動産会社に直接買取してもらう方法もあります。
ほかの財産を含めて相続しない方が良い場合、相続放棄するのも一つの手です。また、売却が難しい立地の実家は、相続土地国庫帰属法で国に引き取ってもらう方法も。
まずはどんな選択肢があるのか把握し、ご実家の状況にあう処分方法を選んでください。ご自身で判断するのが難しいときは、相続に強い不動産会社に相談するのがおすすめです。
実家の売却までにかかる費用
まずは、親の死後、実家を売却するまでにかかる費用を一つずつ見ていきましょう。売却益を得るまでに発生する項目なので、料金相場をしっかり把握して現金を用意する必要があります。
相続税
実家を含めた遺産総額が基礎控除を超える場合、売却までに相続税を支払う必要があります。
相続税の申告期限は、被相続人(親)が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内と決められています。
参照元:国税庁 相続税の申告と納税
相続税の納付は原則的に現金一括となるため、10カ月以内に実家を売却しない場合は、預貯金から支払う必要があるのです。実家の相続税は路線価・固定資産税評価額などをもとに計算され、ほかの財産と合算して求められます。
相続登記費用
相続した実家を売却するためには相続登記で所有権を移転する必要があり、そのための費用が発生します。
費用の種類 | 料金相場 |
登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% |
司法書士の報酬 | 5~15万円程度 |
書類取得費用 | 数千円程度 |
登録免許税・書類取得費用は金額が決められており、実家の状態や固定資産税評価額から計算できます。戸籍謄本や印鑑証明など複数の書類を取得する必要があるので、事前に把握しておきましょう。
相続登記は複雑なため司法書士に依頼するのが一般的で、報酬は依頼先や内容によって変動することが多いです。
維持管理費用
実家の処分には数か月から1年単位の時間がかかるケースもあり、売却活動中の維持管理費用も必要となります。
草むしりや換気などちょっとした管理も遠方だと自分では難しいため、空き家管理サービスなどを利用しなければいけません。空き家管理サービスの費用相場は一か月あたり数千円~1万円前後。ただし、不動産会社に仲介を委託する場合、無料で管理してもらえるケースもあります。
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測量費用
昔に登記した実家は境界線が不明瞭なケースも多く、売却にあたり測量費用が必要になることもあります。
測量は必須ではないものの、境界線があいまいな物件は近隣トラブルのリスクを考慮して避けられる傾向があります。特に地価の高い都市部は測量が求められることが多いため、費用を用意しておいた方が良いかもしれません。
測量は土地家屋調査士に依頼し、費用は30~50万円前後が相場となります。
遺品整理/ごみ処分費用
ご両親が暮らしていたころの家具や荷物が残っている実家は、売却前に遺品整理やゴミ処分をする必要もあります。遺品やゴミが残っていると購入希望者の心象が悪くなるため、なるべく早めに整理・処分をしたいところです。
自分で少しずつ自治体のごみ回収に出せば費用はかかりませんが、遺品整理業者に依頼する場合はそれなりの金額になります。一軒家の遺品整理とごみ処分費用の相場は、30~60万円前後。家の広さや荷物の量などの条件で変動します。
ホームインスペクション・耐震診断費用
築年数が経っている実家を売却する場合、ホームインスペクションや耐震診断の費用も考えておきましょう。
ホームインスペクション(住宅診断)とは、建築士や住宅診断士が第三者的な立場から建物の劣化状態を見極めることです。隠れたトラブルなどが明らかになることで、購入希望者に安心して選ばれやすくなるメリットがあります。耐震診断で建物の耐震性をチェックすることも、同じような効果が期待できます。
ホームインスペクションの費用相場は5~10万円、耐震診断は40~50万円が目安です。自治体の補助金を活用できるケースもあるのでチェックしましょう。
ハウスクリーニング費用
建物の状態は購入希望者の印象を大きく左右するため、ハウスクリーニング費用も用意しておいた方が良いでしょう。
ご自身で掃除するのも一つの手ですが、プロでないと落とせない汚れなどもあります。比較的状態が良く中古住宅として売り出す場合は、ハウスクリーニングの依頼も検討しましょう。
一軒家のハウスクリーニングは広さや状態で変動し、5~15万円前後かかるケースが多いです。
解体費用
空き家期間が長く状態が悪い実家を売却する場合、建物を解体して更地で売り出した方が良いケースもあります。例えば、今にも倒壊しそうな古い家より、更地の方が購入検討者は多くなるでしょう。
木造住宅の解体費用は4万円/坪が相場で、30坪なら120万円が目安となります。
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実家の売却後にかかる費用
購入検討者が見つかり売買契約を交わした後も、費用がかかることに注意しましょう。
仲介手数料
不動産会社を仲介して実家を売却する場合、引き渡しのタイミングで仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は法律で上限が決められていて、成約価格が400万円超の場合「成約価格×3%+6万円+消費税」です。
仮に1,000万円で売れた場合、最大で39万6千円の仲介手数料が発生するということです。不動産会社によって仲介手数料は異なるので、売却相談の際に確認しておきましょう。
印紙税
実家の売買契約書を作成する際は、印紙税法に基づいた金額の印紙を貼る必要があります。
画像引用元:国税庁
印紙税額は契約金額によって、上記のように変動します。仮に1,000万円の契約だと、軽減税率を考慮した5,000円が印紙税額です。
譲渡所得税
実家を処分して利益が出た場合、金額に応じて譲渡所得税が発生します。具体的には、売却金額から実家の取得費と譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」が課税対象となります。
実家の取得金額が分からない場合、売却金額の5パーセントが取得費とみなされるため要注意。仮に1,000万円で実家が売れた場合、取得費用は50万円となり、残りの950万円が課税対象になってしまうのです。
譲渡所得税率は所有期間で変わり、5年以内の「短期譲渡所得」は39.63%、5年超の「長期譲渡所得」は20.315%となります。仮に、5年以上所有した家の譲渡所得950万円に課税されると、376万円もの譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は売却した翌年の確定申告で確定するため、しっかりお金を残しておきましょう。
親の死後実家を売却するまでの流れ
相続した実家を売却するまでの基本的な流れは次の通りです。
- 司法書士に相続登記を依頼
- 不動産会社に査定依頼~売却委託契約
- 遺品整理・ごみ処分・ハウスクリーニング
- ホームインスペクション・耐震診断
- 内見立会い
- 売買契約締結
- 引き渡し
実家を売却するにはまず相続登記が必要なので、最初に司法書士に依頼して名義変更しましょう。
続いて、片付けやホームインスペクションなどの準備をする前に、まずは不動産会社に査定依頼するのがおすすめです。不動産会社の査定は無料ですし、そのまま売却するか、解体するかなど、プロ目線のアドバイスも参考になります。売却活動も早めに始めたほうが購入希望者を見つけやすくなるのでおすすめ。
信頼できる不動産会社に売却を委託したら、必要な準備を進めていきましょう。なお、仲介ではなく買取を依頼する場合は、査定後にすぐ実家を手放すことができます。
まとめ
誰も住まない・活用しない実家を相続したら、なるべく早めに処分するのがおすすめです。所有しているだけで固定資産税や管理費用が発生しますし、老朽化が進めば売却も難しくなるためです。売却にかかる費用を事前に把握して、早めに不動産会社に相談して下さい。
千葉県八千代市周辺の実家を売却する際は、総合不動産会社オカムラホームにご相談ください。仲介・買取・リフォームなど幅広いサービスをご用意し、実家の売却をトータルサポートいたします。無料査定・相談などお気軽にお声掛けください。