築古物件投資のメリット・デメリット|失敗を防ぐチェックポイントも
価格が安く高利回りな築古物件は魅力的だけど、建物の状態や修繕費などデメリットも気になる・・・。
今回はそんなお悩みにお応えして、築古物件投資のメリット・デメリット両面を詳しく掘り下げます。
築年数が古い物件のリスクやデメリットを正しく把握し、失敗を防ぐための対策も解説。これから不動産投資を始める方も、二軒目以降の物件を探している方も、ぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
- 初期投資を抑えられ高利回りが期待できるなど、築古物件投資は経営上のメリットが大きいです。
- 築古物件は建物の状態に注意が必要で、賃料相場・融資などさまざまなデメリットもあります。
Contents
築何年からが築古物件?
築古物件に明確な基準はありませんが、一般的な不動産市場では築30年前後の物件を指すことが多いです。築30年は水回りや外装など大規模な修繕が必要になるタイミングで、建て替えを検討する方も多い時期です。
今回は築30年以降を築古物件と想定して、メリット・デメリットを解説していきます。
築古物件投資のメリット
価格が安い
アパート・マンション・戸建てなど、どの物件も築年数が経つほど資産価値が低下するため、安く購入できるのが大きなメリットです。
画像引用元:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)
上のグラフで分かるように、中古マンション・戸建てどちらも築25~30年を過ぎると平均価格が大きく下がります。この傾向は中古アパートも同じで、築古物件は新築時の半額以下で購入できるケースも多いです。
自己資金の持ち出しやローン借り入れ額を抑えられるので、少ないリスクで投資を始められるのはうれしいですよね。築古戸建てだと数百万円前後の物件も珍しくないため、借入無しで投資を始められるケースも。
初期費用を抑えられると投資回収が早くなり、出口戦略を立てやすくなるため経営上のメリットも大きいです。
利回りが高い
価格が安い築古物件は、新築より利回りが高くなるのも魅力的なポイント。早めに黒字化できる可能性が高くなり、大きな利益も期待できます。
後述する修繕費用や家賃相場には注意する必要があるものの、築古物件の利回りは不動産投資において大きなメリットと言えます。
資産価値が下がりにくい
築古物件は建物の価値が低下した後の状態なので、購入後に資産価値が大きく低下しにくいのもメリットです。
新築物件は毎年の資産価値の下落幅が大きいため、売却益(キャピタルゲイン)を得にくいです。一方、築古物件は購入価格と売却価格の差が小さいので、出口戦略を立てやすくなります。
節税効果が高い
法定耐用年数を過ぎた築古物件は、短期間で減価償却できるため節税効果が高いのも魅力ポイント。法定耐用年数を過ぎた物件の償却年数は「償却年数=法定耐用年数×0.2」で計算されます。
例えば木造アパートの法定耐用年数は22年ですが、築年数が過ぎている場合4年が償却期間になります。仮に購入価格が1,000万円なら、毎年250万円を減価償却費として経費計上できるのです。
立地の良い物件が見つかることも
バブル期に建てられたアパートやマンションは、新築だと見つけにくい好立地の物件に出会えるケースも多いです。
賃貸需要や人気が高い土地はほとんど埋まっていますので、新築・築浅物件は見つけにくく、価格もかなり高額になります。しかし築古物件まで視野を広げると、お宝物件に出会えるかもしれません。
築古物件投資のデメリット
修繕費がかかる
どのような構造の建物も築年数が経つほど必要なメンテナンスが増え、修繕費が多くかかるのが大きなデメリット。
例えばキッチン・お風呂などの水回り設備は30年前後が寿命の目安で、一気に交換時期がくるためかなりの修繕費がかかります。築古の一棟アパートだと、部屋数の分だけ修繕費の負担も大きくなります。
区分マンションの場合、築年数が経つと大規模修繕工事が増え、積立修繕金が高くなることが多いです。戸建ては外壁屋根などの張り替えも必要になるなど、どの築古物件も修繕費は多くかかる可能性があります。
相場より家賃が安い
家賃相場は年々低下していくため、築古物件は家賃収入が少なくなるのもデメリットと言えます。
和室・バランス釜・屋外洗濯機置き場など、昔ながらの間取りや設備の物件は、さらに相場より家賃を安くしないと入居者が集まらないことも。
入居者を集めにくい
賃貸探しで築年数を重視するユーザーは多く、築古物件になるほど入居者を集めにくくなるのもデメリット。
検索サイトなどで築年数を指定されると、候補物件からはじかれてしまう可能性が高くなります。
ローン審査で不利
築古物件は金融機関から資産価値が低いとみなされるため、ローン審査が通りにくいのも注意すべきポイントです。価格が安い分担保価値も少なくなるため、フルローンや長期ローンは組みにくくなる傾向があります。
年数が経つと売却が難しくなる
築古状態で購入した物件は、数年間経営した後の売却が難しい点もデメリット。土地の資産価値が高ければ売れる可能性はありますが、郊外の物件は注意が必要かもしれません。
築古物件購入の失敗を防ぐチェックポイント
築20~30年以上の築古物件を購入する際は、次のポイントに注目して失敗を防ぎましょう。
①建物の状態は問題ない?
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など、どの構造の築古物件も、建物の状態は最優先チェックポイントです。
内装や水回りなど表面的な部分だけでなく、土台・柱・外壁・屋根など、見えない部分のチェックが重要です。例えば木造アパートの外壁や屋根が劣化していると、雨漏りが発生して柱や土台が腐食し、シロアリ被害まで発展するケースもあります。このように状態が悪い築古物件は、余計な修繕費用が発生して経営が失敗するリスクが高いでしょう。
一般の方が建物の状態を正確に診断するのは難しいため、建築知識が豊富な不動産会社と一緒に物件をチェックするのがおすすめです。さらに慎重を期すなら、ホームインスペクションなども活用しましょう。
②どの耐震基準で建てられている?
1981年以前に建てられた築古物件を検討するときは、必ず耐震基準についてもチェックしてください。耐震基準は1981年に大きく変更されていて、旧耐震基準で建てられている物件はさまざまなリスクが発生します。大地震発生時の破損・倒壊リスクが高くなり、ローン審査で不利になるケースも。耐震補強が必要な場合、100万円単位の工事費用がかかることが多いです。
1981年以前に建築確認申請を受けた建物も、新耐震基準を満たしている可能性はあります。必要に応じて耐震診断をするなど、購入前にしっかり現状把握しましょう。
③修繕・リフォーム費用はどれくらい?
実際に経営を続けるうえで発生する修繕費・リフォーム費用も、築古物件購入前に必ずチェックしましょう。
販売価格が安くても、数年後に高額な修繕費・リフォーム費用が発生しては元も子もありません。何年経営するのか決めたうえで、その間に発生する修繕・リフォームメニューをリストアップしましょう。その費用も踏まえて「実質利回り」を算出すれば、経営失敗のリスクを軽減できるはずです。
築古物件のDIY修繕はあり?
最近はYouTubeやブログなどで、築古物件を購入して大家自身がDIY修繕をするケースもよく見かけますよね。結論としては、これから築古物件をどんどん購入して大家業をメインにしていくなら、DIY修繕のメリットはあります。一軒目でDIYのコツを覚えれば、次の物件からどんどん効率が上がってコストメリットが大きくなるはずです。
逆に、一軒だけDIY修繕して終わりだと、時間と手間が割に合わない可能性が高いです。賃貸物件に求められるレベルのDIY修繕をするには、ある程度の道具や練習が必要になります。また、壁紙が剥がれたりフローリングがギシギシ鳴ったりして、入居者のクレームにつながるリスクも。
副業として不動産投資をする方、まずは1軒目で確実に黒字経営を目指す初心者の方は、修繕・リフォームはプロに任せた方が良いかもしれません。
まとめ
築古物件にはメリット・デメリット両面があり、建物の状態や経営方針によって購入すべきかどうか判断が変わります。特に建物の状態には注意が必要で、築古物件を検討する際は信頼できる不動産会社のアドバイスを受けるのが望ましいです。
オカムラホームは、住宅部門・不動産部門が連携し、豊富な建築知識を基に物件選び・購入をサポートします。築古物件の購入判断だけでなく、リフォームや管理など、経営まで含めたサポートも可能。ぜひお気軽にご相談ください。