リビング階段はどんな家族におすすめ?メリット・デメリット&施工実例

リビング階段間取りのメリット・デメリットと向いている人

「リビング階段(リビングイン階段)」は、LDKから2階への動線が良くなり、おしゃれで開放的な空間が作れるため人気があります。

このコラムでは、リビング階段のメリット・デメリットについて、施工実例を交えて詳しく解説します。

  • リビング階段の間取りはどんな家族に向いているのか知りたい
  • 2階とつながったリビング階段はLDKが寒くならないか心配

新築一戸建てや注文住宅を検討中で、上記のようなお悩みをお持ちの方は参考にしてくださいね。

 


コラムのポイント

  • リビング階段は、省スペースで動線効率の良い間取りが作れるのがメリットです。広いリビングが欲しい方や、子育て世代の方におすすめの間取りです。
  • リビング階段にはリビングの冷暖房効率やプライバシー性、音・ニオイの伝わりやすさなど注意したいポイントもあります。
  • 快適で使い勝手の良いリビング階段のある家を建てるなら、高気密・高断熱仕様で設計力の高いハウスメーカーを選ぶのがおすすめです。

 

 

リビング階段の基礎知識をおさらい

注文住宅のリビング階段施工事例

はじめに、リビング階段の間取りについて簡単におさらいしてみましょう。

リビング階段とはどんな間取り?

リビング階段とは、リビング内に上階への階段がある間取りを指します。「リビングイン階段」と呼ばれることもあります。

〈リビング階段とホール階段の違い〉

名前 階段の位置 間取りや動線の特徴
リビング階段
(リビングイン階段)
リビングやLDK 玄関から必ずリビングを経由して2階へ行く動線
ホール階段・廊下階段 玄関ホールや廊下 玄関からリビングを経由しないで2階へ行く動線

 

 

リビング階段の間取りが増えているのはなぜ?

効率の良い間取りが作れるリビング階段

リビング階段が増えている大きな理由として、住宅の高性能化が考えられます。

近年は、住宅の断熱性や気密性がアップしているため、リビング階段のような2階とつながる大空間を作っても寒さに対策できるようになりました。

また、リビング階段は廊下やホールを省略できるため、広いリビングが欲しい方や、シンプルで効率的な間取りの家を求める方にも需要が増えていると言えるでしょう。

 

 

リビング階段のメリット

次に、一戸建てでリビング階段の間取りにするメリットを簡単に解説します。

 

玄関ホールや廊下を省略できる

リビング階段は、階段と各部屋をつなぐための玄関ホールや廊下を減らせる点が大きなメリットです。

ホールや廊下の施工面積が減ってコストダウンにつながるほか、余ったスペースでリビングを広くしたり、収納やワークスペースを作ったりと間取りの幅も広がります

 

家族のコミュニケーションが増える

家族とコミュニケーションしやすいリビング階段

リビング階段は、家族がリビングを通る機会が増えることで、コミュニケーションしやすくなるのもメリットです。

子ども部屋を2階に配置する場合でも、リビング階段なら自然にお子さまと顔を合わせられるので、小さな変化にも気づきやすくなりますね。

 

おしゃれなアクセントになる

LDK空間のおしゃれなアクセントになるリビング階段

リビング階段は、階段自体をインテリアと捉えてLDKのおしゃれなアクセントにできる点もメリットです。

光を通しデザイン性も高いスケルトン階段を採用すれば、吹き抜けのような効果で明るく開放的なリビングが作れますよ。

 

リビングの開放感アップ

2階とコミュニケーションしやすいリビング階段

リビング階段は、部分吹き抜けのように、上の階からの光を直接リビングに取り込めるため、採光不足を補えます。

また、上に視線が抜けることで空間の広がりを感じるため、面積以上にリビングが広く見え、開放感が得られるのも大きなメリットです。

 

効率の良い動線を作りやすい

リビング階段は移動のための廊下を通らずに直接上下階に移動できるため、効率の良い動線の間取りが作れます。

LDKを起点として、水回りから個室などへの移動も短くしやすいため、リビング中心の生活動線の良い家にしたい方におすすめです。

 

階段下スペースの用途が広がる

ホール階段の場合、階段下のスペースはトイレや収納にするのが定番ですが、リビング階段は用途の幅が広いのもメリットです。

〈リビング階段の階段下スペース活用例〉

  • デスクを設置してワークスペースにする
  • 本棚を設置してファミリーライブラリーにする
  • キッズスペースやヌックにする
  • テレビ台置き場にする

リビングに隣接していることを活かして、家族が一緒の空間にいながらそれぞれしたいことをする、程よい距離感の間取りを作るのにも最適ですね。

 

 

リビング階段のデメリットと対策

リビング階段のメリットとデメリットを比較する

さまざまなメリットがあるリビング階段ですが、採用を検討する際に知っておきたい注意点もあります。デメリットと対策をセットで知っておくことで後悔を防げますので参考にしてください。

 

冷暖房効率が悪く寒い

リビング階段は2階と1階リビングがつながった大きな空間ができるため、冷暖房効率が悪くなることがあります

空調が効きづらいことで、冬場はリビングが寒い、光熱費がアップしてしまうなどの問題が起きるケースも。

ただし、住まい全体の断熱性を上げれば、暖房で暖めた空気が外に逃げにくくなるため、リビング階段の家でも快適に過ごしやすくなります。

また、以下の方法でも冷暖房効率をある程度改善できます。住まいの高断熱化と合わせて、必要に応じて検討してみましょう。

  • 両脇に壁のある階段にして大きな吹き抜けを作らない
  • 階段とリビング入口の間に引き戸を付ける
  • サーキュレーターやシーリングファンで空気の循環を促す

 

音とニオイが2階に広がりやすい

キッチンのニオイが伝わりにくいリビング階段の間取り

リビング階段は1階の音やニオイが2階にも伝わりやすい点にも注意が必要です。

例えば、キッチンからのニオイやリビングのテレビの音が、2階の寝室や子ども部屋に伝わり気になってしまうというケースが考えられます。

リビング階段を採用する際は、音やニオイの広がり方も踏まえた上で、間取りや建材、設備などを選択しましょう。

〈リビング階段の音・ニオイ対策例〉

  • キッチンと階段の位置関係や換気扇の機能性などをしっかり検討する
  • テレビの真上に寝室を作らないなどの間取りの工夫
  • 寝室や子ども部屋のドア・床・壁の防音性を高める

 

来客中のプライバシー性が気になる

リビングのプライバシー性を配慮した間取りの工夫

リビングにお客様がいる場合、他の家族が帰宅した時に顔を合わせるため、お互いに気を遣ってしまうというデメリットです。

また、お子さまのお友達が遊びに来た時に、家族がリビングでくつろいでいるのが丸見え、ということもできれば避けたいですよね。

間取り検討時は、リビングソファを階段から見えにくくするなど、階段からの目線をシミュレーションしてプライバシーにも配慮しましょう。来客が多いなら、リビングとは別に応接スペースを確保するのもおすすめです。

 

リビングにホコリが落ちてくる

掃除しやすいリビング階段

階段は角にホコリが溜まりやすいため、リビングにそのまま落ちてきてしまうというデメリットです。

とはいえ、こまめにお掃除するのは大変ですよね。

そこで、ホコリが落ちても気になりにくいように階段の配置を工夫するのがおすすめです。

また、階段下はなるべく段差を作らない、物を置かないなどお掃除しやすくしておくのもポイント。ロボット掃除機が無理なく通れるようにしておけば、毎回お掃除する手間も省けます。

 

玄関から2階に直接行けない

リビング階段は、玄関→リビング→2階という動線のため、玄関から2階へ直接行きたい場合、移動距離やドアを開ける手間が増えがちです。

例えば、外出中に突然雨が降り、急いで2階バルコニーの洗濯物を取り込みたい時などは、玄関から2階へ行きやすいホール階段の方が便利かもしれません。

ただし、リビング階段でもなるべく玄関に近くなるように設置すれば、2階へスムーズに行ける動線は作れます。また、日中家を空ける共働きのご家庭などでは、室内干しができるランドリールームを作るのもおすすめですよ。

 

 

リビング階段はどんな人におすすめ?

スケルトン階段を使ったリビング階段の間取り実例

リビング階段のメリット・デメリットを踏まえて、どんな人に向いているのかまとめてみます。

 

リビング階段が向いている人

  • これから子育てに取り組むファミリー世代
  • 開放感のあるリビングを作りたい人
  • 来客が少ない、または応接スペースを作れる人
  • 家事効率の良い間取りにしたい人

 

ホール階段が向いている人

  • リビングのプライバシー性やくつろぎ感を重視する人
  • 玄関から2階への動線の良さを重視する人
  • 来客が多くパブリックとプライベート空間を分けたい人

 

リビング階段は効率的な間取りにしたい方や、子育て世代などコミュニケーションしやすさを重視する方に向いています。

一方、リビングのプライバシー性を重視したい方や、来客が頻繁にある方は、リビング階段よりもホール階段の方が向いてると言えるでしょう。

 

 

リビング階段のおしゃれな施工事例

リビング階段を取り入れた施工事例を紹介します。ライフスタイルに合わせた動線の良い間取りや、開放感やおしゃれ度をアップする階段デザイン、配置にも注目してください。

 

リビング階段とつながる小上がりのくつろぎスペース

玄関からの動線が良い、LDK内にさりげなく配置したリビング階段。大きな吹き抜けを作らないことで2階にも十分なスペースを確保しています。

リビング階段とつながる小上がりスペースは、お子様の遊び場や家族のスタディ&ワークスペースなど、多目的に使えてご家族が自然と集まりたくなる空間です。

施工事例:集う間

 

吹き抜けのあるリビング階段の間取り事例

開放感あふれるスケルトンタイプを採用したリビング階段の間取り事例です。アイアンの手すりがおしゃれなアクセントになっています。吹き抜けと組み合わせることで2階とのつながりが生まれ、コミュニケーションしやすく光もたくさん取り込めます。

施工事例:素材を育てる家

 

ダイニングに近い配置のリビング階段

モノトーンと木のぬくもりをミックスした内装に、スケルトンのリビング階段がマッチしたおしゃれな施工事例です。ダイニング前の大きな吹き抜けの窓から光を通しつつも、適度に外からの視線を遮る役割も果たしています。

施工事例:【ZOOT(6×10+option)】ずっと、つづく、くらし

 

2階からリビングの様子が見えるリビング階段の間取り

ダイニングの横にリビング階段を配置した事例です。吹き抜けで2階にいる家族ともコミュニケーションが取りやすい間取りになっています。

施工事例:【ZOOT WORK】ずっと、つづく、くらし

 

玄関とリビングの間にスケルトン階段を挟み、さらに吹き抜けを設けることで、家全体が一つのフロアになったような開放感溢れる空間を演出しています。

施工事例:内でも外でも”アウトドア”ができる住まい【コノスマイ+R~なかcan そとcam~】

 

リビング階段

片側を壁に付けた、シンプルで省スペースなリビング階段の実例です。インダストリアルな内装にマッチしたアイアンの手すりがおしゃれ。階段下は扉付きの収納スペースにして空間を無駄なく活用しています。

施工事例:ファッションが大好きなご夫婦のラフな暮らし

 

スキップフロア+リビング階段の間取り

リビング階段の途中に中二階(スキップフロア)を設けた事例です。

明るいスキップフロア空間

リビング階段だからこそ実現できる、明るく開放感のある中二階。趣味や勉強など多目的に活用できる便利なスペースになりました。

施工事例:ASOBUとMANABU(kicocochi model’s)

 

ライブラリーコーナーがあるリビング階段

リビング階段の途中にスキップフロアでファミリーライブラリーを作った事例です。階段はベンチ替わりにもなります。また、階段下はテレビ台置き場にして、くつろぎスペースを最大限広く確保しています。

施工事例:段リズム(kicocochi model’s)

 

リビング階段

玄関から続く広い土間空間から、リビング、そして2階へ行ける動線の良いリビング階段の間取り事例です。吹き抜けからの光がリビングや玄関まで差し込みます。キッチンから近い階段下スペースにはパントリーを設置しました。

施工事例:to doma ri(kicocochi model’s)

 

平屋のリビング階段

リビングからロフトに上がる固定階段を設置した平屋の間取り事例です。ロフトには吹き抜け空間に張り出すようにカウンターを設置。ロフトにいても家族の顔が見えてコミュニケーションもしやすい、個性溢れるアイデアですね!

施工事例:【ZOOT FLAT】太陽光・蓄電池付き規格住宅

 

ダイニングとリビングをつなぐ土間空間の階段

ダイニングと和室をつなぐ、土間リビングのある和モダンな家。リビングの奥にある階段が、おしゃれな空間のアクセントになっています。リビングから2階ホールにつながる大空間の吹き抜けで、家全体が1つのフロアになったような開放感を演出。ホームパーティー好きのご家族にぴったりの家になりました。

施工事例:【ウツロフ家】ウツロイゆく時を感じ、生活に価値をもたらす家

 

 

リビング階段のある間取りづくりのポイント

リビング階段の間取りを成功させるポイント

最後に、リビング階段のある間取りを成功させるためのポイントについてまとめます。

 

階段のレイアウトを考える

リビング階段の間取りは、階段の位置や形状で利便性やデザイン性が変わってきます。

〈主な階段の種類と特徴〉

直線階段 シンプルな直線形状の階段。ストレート階段とも。見通しが良く上り下りしやすい。
かね折れ階段 途中で90度向きが変わり、踊り場を作る階段。直線階段よりも省スペースで設置でき安全性が高い。リビングから2階が見えにくくなる。
回り階段 途中で90度または180度向きが変わる階段。カーブする部分は踏み板が三角形になる。リビングから2階が見えにくくなる。
らせん階段 らせん状に回りながら上り下りする階段。デザイン性が高く他の階段よりも少ない面積で設置できる。

 

また、階段をリビングとダイニングキッチンのゾーン分けに使うなどの間取りテクニックもあります。

階段の安全性や使い勝手はもちろん、ライフスタイルに合わせた配置や形状を検討しましょう。

 

動線効率とプライバシー性のバランス

例えば、LDKの中央に階段を設置すると動線効率は良くなりますが、階段の存在感が大きくなり、プライバシー性が損なわれる可能性もあります。

逆にLDKの端に階段を配置すると、リビングを横切る移動距離が長くなり不便に感じる場合も。

効率的な生活動線が魅力のリビング階段ですが、プライバシー性も損ねないバランスを考えて間取りを決めることが成功のポイントになります。

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まとめ

リビング階段は、ホールや廊下の面積を減らし、省スペースで動線効率の良い間取りが作れるのが大きなメリットです。

広いリビングが欲しい方や、お子さまの見守りやコミュニケーションのしやすさを重視する子育て世代の方におすすめの間取りです。

一方で、リビングの冷暖房効率やプライバシー性、音・ニオイの伝わりやすさなど注意したいポイントもあります。また、リビング階段を使う動線をシミュレーションし、家族一人ひとりのライフスタイルに配慮した間取り計画も重要になります。

おしゃれで使い勝手の良いリビング階段のある家は、大空間があっても冷暖房効率が落ちにくい高気密・高断熱仕様で建てるのがおすすめです。

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