サブリースと家賃保証会社は違う?メリット・デメリットや適した賃貸管理の見極め方を解説
このコラムでは、賃貸管理におけるサブリース方式と管理委託方式、家賃保証会社の違いについて分かりやすく解説します。
それぞれのメリット・デメリットや必要性、自分に合った賃貸管理方法や会社を選ぶ際のポイントも紹介。
一棟アパートやマンションを建築・購入して土地活用・賃貸経営をお考えの方は参考にしてください。
コラムのポイント
- サブリース方式(一括借上げ方式)とは、賃貸管理会社がオーナーから物件を一括借上げした上で入居者に転貸する契約を指し、多くの場合空室や滞納時の家賃保証が付いています。
- サブリース方式以外にも、入居者に家賃保証会社と契約してもらう方法で、滞納による経営悪化のリスクを減らせます。
- 賃貸管理は、物件の立地や状態、出口戦略などさまざまな視点から総合的に適した方法を選ぶことが大切です。
Contents
そもそもサブリースとは?
賃貸管理の契約方式は、大きく分けると「サブリース方式」と「管理委託方式」の2種類があります。
サブリース方式(一括借上げ方式)とは、賃貸管理会社がオーナーから物件を一括借上げした上で入居者に貸し出す(転貸する)契約を指します。
次章でサブリース方式と委託管理方式、それぞれの違いやメリット・デメリットについて解説します。
サブリースと委託管理の違い
賃貸管理のサブリース方式と委託管理方式の特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
サブリース契約 | 管理委託契約 | |
手数料の相場 | 10~20% | 5~10% |
家賃保証 | あり | 原則なし |
経営の主体 | サブリース会社 | オーナー |
それぞれについてもう少し詳しく解説していきますね。
①管理委託方式
管理委託方式は、賃貸管理会社に手数料を支払い、入居者とのやりとりや物件メンテナンスなどの管理業務を委託する方法です。
経営の主体は管理を委託するオーナーとなり、入居者はオーナーと賃貸借契約を結びます。
サブリース方式よりも低い手数料で賃貸管理を委託できる点がメリットです。
一方、原則として空室時の家賃保証はないため、入居状況によって賃料収入が変動するという空室リスクを直接負うことになる点がデメリットです。
②サブリース(一括借上げ)方式
サブリース方式(一括借上げ方式)とは、賃貸管理会社がオーナーから物件を一括借上げした上で入居者に貸し出す(転貸する)契約を指します。
サブリース方式は一般的に管理委託に固定の家賃保証が付いた契約が多い※ため、「賃料固定型」や「家賃保証型」とも言われます。
※「パススルー型(実績賃料連動型)サブリース」と言われる、空室状況に応じてサブリース会社から振り込まれる賃料が変動するタイプの契約方式もあります。
サブリース方式による賃貸管理のメリット・デメリット
サブリース方式による賃貸管理のメリット
サブリース方式のメリットは、空室が発生した場合でも最低保証賃料は必ず得られるため安定収入が見込める点です。
サブリース方式の場合のオーナーの収入は、管理会社が契約時にシミュレーションを実施して設定した家賃(最低保証賃料)から、保証料を差し引いて計算します。
例えば家賃が月10万円で保証料が15%なら、オーナーには月8万5,000円の固定収入が必ず保証されます。
また、サブリース方式は賃貸管理会社が主体となって経営・管理するため、オーナーの時間・精神的な手間も軽減できます。
サブリース方式のデメリットと注意点
サブリース方式による賃貸管理委託は家賃保証によって空室リスクを引き受けてくれる反面、以下のようなデメリットや注意点があります。
- 管理委託方式より手数料が高い
- 自主経営より家賃収入は少なくなる
- 最低保証賃料の引き下げがある場合も
- 契約期間中はオーナー都合で売却や解約ができない
- 原状回復・リフォーム費用はオーナー負担
サブリース方式では、2年ごとに最低保証賃料を見直す契約が多くなっています。景気や需要変化等による空室続きなどの理由から、当初取り決めた最低保証賃料の引き下げを要求されることもあります。
サブリースのマスターリース契約は貸主がオーナー・借主が賃貸管理会社になります。借地借家法によって借主側である賃貸管理会社の権利が強く保護されているため、最低保証賃料の見直しや減額を拒否することが難しいケースが多い点に注意が必要です。
サブリース契約のメリット・デメリットは以下のコラムで詳しく解説していますので、合わせてお読みください。
〈関連コラム〉
サブリース契約はやめとけと言われるのはなぜ?後悔を防ぐポイント
サブリースと「家賃保証」の違い
賃料固定型のサブリースは「家賃保証付きの賃貸管理サービス」のため、賃貸管理の上では「家賃保証」と「サブリース」はほぼ同じ意味で使われます。
そして、サブリースの家賃保証とは別に、借主(入居者)が家賃滞納時でもオーナーに家賃が支払われるようにするための「家賃保証会社による家賃保証」もあります。
オーナーが家賃保証会社を利用する場合のメリットについて分かりやすく解説します。
家賃保証会社のサービス概要
家賃保証会社を利用すると、入居者が家賃保証会社と契約して保証料を支払うことで連帯保証人不要で賃貸借契約ができるようになります。
これまで、賃貸借契約をする借主には連帯保証人を付けるのが一般的でしたが、核家族化や同居家族以外の親族との関係希薄化などによって、連帯保証人を確保するのが難しいケースが増えています。
結果として、「連帯保証人が必要な物件は入居者が集まりにくくなる」というデメリットも発生しています。
家賃保証会社は、滞納や修理費の未払いなどが起きた際に連帯保証人に代わってオーナーへ賃料を保証します。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、賃貸借契約の約6割で家賃債務保証会社が利用されています。
家賃保証会社を利用するメリット
負担を増やさずにリスク対策ができる
家賃保証会社に支払う保証料は入居者負担のため、オーナーの費用負担を増やさずに滞納リスクに備えられる点が最大のメリットです。
滞納リスクが少ない入居者を見極めてくれる
入居希望者に対しては家賃保証会社が審査するため、安心して入居者を迎えられることもメリットです。
滞納時の督促業務を代行してくれる
家賃保証会社を利用して入居した借主に滞納が発生した場合、家賃保証会社が賃料の督促業務を代行してくれるため、難しい対応の負担を軽減できます。
家賃保証サービスのデメリット
家賃保証会社の利用を契約時の条件にする場合、連帯保証人が立てられる入居者には保証料が負担となるため、結果的に入居率の低下を招く可能性があります。
家賃保証会社との契約時の保証料は、初回時は月額賃料の50%、以後1年ごとに1万円が相場となっています。
サブリースと家賃保証会社はどちらが良い?
サブリース方式で賃貸管理会社と契約していれば、空室の有無にかかわらず一定の家賃が保証されるので、基本的に家賃保証会社を利用する必要はありません。
一方、管理委託方式で賃貸管理会社と契約する場合は、原則として滞納・空室による賃料保証がありません。連帯保証人以外に滞納保証が欲しい場合は別途家賃保証会社を利用する必要があります。
ただし、管理委託方式の中には、家賃保証会社を利用した滞納保証が付いているケースもありますので、保証会社の種類や保証範囲、滞納時の対応などをあらかじめ確認しておきましょう。
サブリース・家賃保証に関するQ&A
Qサブリース方式から管理委託や自主管理に変更できる?
契約書の内容に沿っていれば、管理会社や方式を変えても特に問題はありません。管理委託方式や自主管理でも、家賃保証会社を利用すれば滞納リスクには対応できます。
賃貸を自主管理するなら、客付けを依頼する地域に詳しい不動産会社に事前に相談するのがおすすめです。賃貸管理サービスも充実している不動産会社なら、客付け後に管理もお願いする方法もあります。
Qサブリース方式の賃貸経営が向いているケースは?
サブリース方式が向いているのは以下のようなケースになります。
副業として賃貸経営したい
賃貸経営に関するほぼすべての業務を委託できるため、管理に時間を避けない場合に向いています。
管理していく上での負担が大きい
遠方で土地勘がないなどの理由で、自身で経営するよりプロに任せたい、ライフスタイルの変化によって管理が難しくなってきたなど、管理の負担を減らしたい場合にも適しています。
安定した収入を重視する
空室状況によって収入が変動するよりも、手数料が高めでも安定して収入を得る方が良いという方にも向いています。
逆に、立地が良い、資産価値が高いなど需要が多く安定した入居率が期待できる物件であれば、サブリース以外の方が利益を最大化できる可能性が高くなるでしょう。
相続税の節税効果を最大化したい
アパートなどの賃貸物件の相続税評価額は、相続時の入居率が高いほど相続税は低くなります。
家賃保証型サブリース方式の場合、アパート・マンションなどの建物を一括で管理会社に貸している状態になるため、空室があっても賃貸割合は100%(満室)とみなされ、節税効果が最大化されます。
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まとめ
サブリース方式(一括借上げ方式)とは、賃貸管理会社がオーナーから物件を一括借上げした上で入居者に転貸する契約を指し、多くの場合空室や滞納時の家賃保証が付いています。
サブリース方式は安定収入が見込めるメリットがある一方で、管理委託方式より手数料が高く最低保証賃料が変動する可能性があるなどのデメリットもあります。
サブリース方式を利用しない場合は、入居者に家賃保証会社と契約してもらうことで、滞納による経営悪化のリスクを減らせます。
賃貸管理は、物件の立地や規模、築年数、内外装の状態やメンテナンス時期・費用予測、エリアの賃貸需要、出口戦略などさまざまな視点から総合的に適した方法を選ぶことが大切です。
オカムラホームでは、一括借上げだけでなく、一棟のうち半分はサブリース・もう半分は委託管理契約といったプランも可能です。サブリース方式の安定感と、委託管理方式の収益性を組み合わせることで、それぞれのリスクを軽減して安定した経営を目指すこともできます。
アパートやマンションの建築、経営コンサルティング、賃貸管理まで一括自社管理体制でサポートいたしますので、賃貸経営のことならなんでもご相談ください。