アパート経営における利回りの目安は?実質利回りの計算方法や中古/新築のシミュレーションも紹介
このコラムでは、アパート経営における利回りの目安や、表面利回り/実質利回りの違いとそれぞれの計算方法について解説します。
中古と新築でそれぞれ投資用アパートを購入した場合の実質利回りのシミュレーション例や、高い利回りを維持して安定経営を目指すためのポイントも紹介。
これから不動産投資を考えている方や、税金対策としてアパート建築を検討中の方は参考にしてください。
コラムのポイント
- 築20年以上の中古一棟アパートの表面利回りは7%前後、新築や築浅アパートは5~6%前後が目安です。新築・築浅アパートは物件価格が中古より高い分、表面利回りは低くなる傾向があります。
- アパート経営では表面利回りだけでなく、運用時・物件購入時の諸経費を含めた実質利回りでも比較検討することが重要です。
- 不動産投資や相続した土地でのアパート経営は、地域の賃貸需要に詳しく、収益物件の運用ノウハウがある不動産会社のサポートを受けるのがおすすめです。
Contents
アパート経営の利回りとは
アパート経営における利回りとは、アパートの建築または購入費用に対する1年間の家賃収入の割合のことを指します。
例えば価格が5,000万円で利回り7%のアパートは、1年間に350万円の利益が期待できるということです。この場合、投資回収にかかる期間は約14~15年間ということになります。
数値上では、利回りが大きいほど大きな利益が期待でき、早い期間で投資回収できます。ただし、利回りには複数の計算方法があるため、1つの数値だけで判断することはできません。
次章で、アパート経営における利回りの種類とそれぞれの計算方法について解説します。
アパート経営における利回りの種類と計算方法
アパート経営をはじめとする不動産投資においては、主に「想定利回り」「表面利回り」「実質利回り」がよく使われます。それぞれの特徴や基本的な計算方法をチェックしましょう。
表面利回り
表面利回りは、投資金額(物件価格/建築費用)に対する1年間の家賃収入の割合を指し、「グロス利回り」とも呼ばれます。
〈表面利回りの計算方法〉
表面利回り(%) = 年間家賃収入 ÷ 購入/建築費用 × 100
表面利回りは「想定利回り」と表記されていることもあります。想定利回りは、アパートの入居率が100%(満室)と想定して計算した表面利回りを指します。
表面利回りは、物件の運用やメンテナンスにかかるコストを考慮していない点に注意が必要です。
実質利回り
表面利回りの計算式に、購入・運用にかかる諸費用をプラスしたのが実質利回りです。
〈実質利回りの計算方法〉
実質利回り(%) = (年間家賃収入 - 運用にかかる年間諸費用) ÷ (購入/建築費用 + 購入/建築時諸費用) × 100
アパートの購入、建築時には物件価格の7~10%程度の諸費用がかかります。
また、運用にかかる諸費用にはローン返済額や修繕費用、固定資産税や火災保険などのランニングコストが含まれます。シミュレーション時には、年間家賃収入の15~20%程度を見込んでおくと良いでしょう。
実際の経営状況に近い数字になるため、購入物件を判断する際は実質利回りをシミュレーションした上で検討する必要があります。
ただし空室状況や修繕費用、税金などは物件ごとに変わるため、実際の運用では実質利回りの数字通りになるとは限りません。
運用後に当初の経営計画から大きく外れることを防ぐためにも、必要な経費をできるだけ漏れなく計算してなるべくリアルな数字を求めつつ、マージンも設けておく必要があるでしょう。
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中古と新築/築浅アパートの利回り目安
アパート経営において、中古物件と新築/築浅物件の利回りの違いや目安について解説します。
中古アパートの場合
築20年以上の中古一棟アパートの表面利回りは7%前後が目安です。築古アパートは物件価格が安いので、新築よりも高い表面利回りが期待できる点が特徴です。
木造なら築30~40年前後で、建物の価値がほぼゼロに近い(土地値に近い価格)のアパートが最も高い表面利回りを期待でき、利回り10%以上も狙えるケースもあります。
現在の中古アパートは、築30年前後でもある程度しっかりした作りの物件も多くなっています。条件の良い物件を見つけられれば、リフォームやリノベーションで新築のようにリニューアルすることも可能です。
一方で、築古アパートのリスクは、あくまでも高いのは「表面利回り」という点です。
築年数が古いほど、周辺の新築アパートよりも家賃を下げないと入居者が集まりにくく、修繕費がかさむリスクも高いため、投資回収に時間がかかる可能性が高くなります。
中古アパート経営で投資資金の早期回収を目指すなら、築年数が古いかつ状態が良く、できるだけほぼ土地値に近い物件がおすすめです。
新築・築浅アパートの場合
新築や築浅アパートの場合は、表面利回り5~6%前後が目安です。物件価格が中古より高い分、表面利回りは低くなります。
ただし、家賃設定を高くしやすいことや、当面の修繕費や管理費を抑えやすいことから、実質利回りでは有利になるケースもあります。
また、賃貸において新築・築浅物件は人気が高いため競合も多く、駅からの距離が少しでも近いなど立地面での優位性や適切な家賃設定、客付けの工夫が重要になってきます。
アパート経営の実質利回りのシミュレーション例
中古と新築で、木造2階建てアパートをそれぞれ購入した場合の実質利回りのシミュレーション例を紹介します。
中古アパートの場合
〈シミュレーション条件〉
- 木造2階建てアパート
- 築年数:築25年
- 間取り:1K×6戸(駐車場6台)
- 価格:5,500万円
- 購入時諸費用:物件価格の10%
- 家賃:約5.5万円
- 満室想定年収:396万円(想定月収:33万円)
- 表面利回り:7.20%
- 運用時諸費用:満室想定年収の20%
〈満室想定時の実質利回りのシミュレーション〉
実質利回り(%) = (396万円 - 79.2万円) ÷ (5,500万円 + 550万円) × 100 = 6.4%
新築アパートの場合
〈シミュレーション条件〉
- 木造2階建てアパート
- 築年数:新築
- 1DK×6戸(駐車場3台)
- 価格:9,900万円
- 購入時諸費用:物件価格の7%
- 家賃:約7.5万円
- 満室想定年収:540万円(想定月収:45万円)
- 表面利回り 5.45%
- 運用時諸費用:満室想定年収の20%
〈満室想定時の実質利回りのシミュレーション〉
実質利回り(%) = (540万円 - 108万円) ÷ (9,900万円 + 693万円) × 100 = 4.69%
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今回は満室の想定で実質利回りを計算しましたが、実際には競合物件の状況などを元に空室率を加味してシミュレーションするのがおすすめです。
アパート経営で高い利回りを維持するコツ
最後に、アパート経営にあたって高い利回りを維持しながら、安定経営を目指すためのポイントを解説します。
長期需要が見込まれる立地を選択する
不動産投資のためにアパートを購入する場合は、長期的に賃貸需要が見込まれる立地の物件を選ぶことが高利回りを維持するポイントです。
〈長期的に賃貸需要が見込まれる立地の例〉
- 駅近、通勤・通学に便利な立地(主にファミリー層に需要がある)
- 大企業や工場などがあるエリア(単身者向けアパートの需要がある)
- 開発中または将来的に再開発が予定されているエリア など
空室リスクを抑える
アパート経営において、入居率の低下は直接的なキャッシュフローの悪化につながる最大のリスクと言えます。
築年数が古くなるほど、周囲の新築物件に対する競争力も低下しやすいため、空室率が上がってきたら早急に対策を打っていくことが重要です。
〈アパートの空室対策例〉
- 適切な管理・修繕計画を立てる
- 需要に合わせた魅力的な物件づくり
- 家賃の見直し
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諸費用を抑える工夫をする
アパート経営で安定した手取り収入を得るためには、運用時の諸費用を抑えて実質利回りを高く維持することが重要です。
〈アパート運用時の諸費用を抑えるアイデア〉
- 適切な管理方式の選択(委託・サブリースor自主管理)
- 火災保険の見直し など
運用前のシミュレーションで支出項目や支払いタイミングをできるだけ細かく想定しておくことで、経営計画の見直し時に削減できる経費を判断しやすくなるでしょう。
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まとめ
築20年以上の中古一棟アパートの表面利回りは7%前後、新築や築浅アパートは5~6%前後が目安です。
新築・築浅アパートは物件価格が中古より高い分、表面利回りは低くなる傾向があります。
アパート経営では表面利回りだけでなく、運用時・物件購入時の諸経費を含めた実質利回りでも比較検討することが重要になります。
初めての不動産投資や相続した土地でのアパート経営は、地域の賃貸需要に詳しく、収益物件の運用ノウハウがある不動産会社のサポートを受けるのがおすすめです。
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