不動産投資でフルローンは危険?メリットやリスク、返済比率の目安を解説

不動産投資でフルローンを利用するメリット・デメリット

 

このコラムでは、不動産投資で頭金なしのフルローンを利用するメリットとデメリットについて解説します。

フルローンが危険と言われる理由リスク対策適正な返済比率の目安も紹介。

これから不動産投資を始めたい方や、フルローンに向いている人・物件の条件を知りたい方は参考にしてください。

 


コラムのポイント

  • フルローンで不動産投資をする場合、自己資金を抑えてレバレッジ効果を高め、効率良く利益が得られるメリットがあります。
  • フルローンは金利変動や不測の事態によるキャッシュフローの悪化や、売却でローンが完済できないリスクも高くなるため、慎重に検討する必要があります。
  • フルローンは返済額が大きいことを踏まえて、空室リスクの少ない物件選定や、予定外の支出にも備えられる経営計画を立てた上で利用することをおすすめします。

 

最適な土地活用

 

不動産投資はフルローン(頭金ゼロ)で始められる?

不動産投資はフルローンで始められる?

フルローンとは、頭金なしで物件価格全額や諸費用などの融資を受けることを指します。

不動産投資ローンで融資を受けるには、物件価格の10~30%前後を頭金として入れることが一般的ですが、フルローンを利用できれば、自己資金を抑えて不動産投資を始められます。

ただし、フルローンが利用できてもローンに含められない諸費用があるため、自己資金がまったくのゼロでは始められない点には注意が必要です。

 

〈不動産投資ローンでフルローンに含められない諸費用の例〉

  • 手付金(購入時に物件価格の5~10%程度を現金で支払う)
  • 購入後のリフォーム費用(実施する場合)
  • 仲介手数料やローン保証料、融資事務手数料、司法書士報酬、印紙税、火災保険料、不動産取得税、固定資産税なども含められない場合があるので個別に確認が必要

 

フルローンの場合でも、建築費用や購入費用の5~10%程度の自己資金は必要になると考えておきましょう。

 

不動産投資でフルローンを利用するメリット

不動産投資でフルローンを利用するメリット

不動産投資でフルローンを利用するメリットについてまとめます。

 

自己資金を抑えてすぐに投資が始められる

フルローンは頭金を用意する必要がなく、自己資金を抑えながら不動産投資を始められるのが最大のメリットです。

手元に資金が少ない場合でも物件を購入できるため、機会損失を防げます。

 

手元に資金を残せる

フルローンで融資を受けることで、自己資金を手元に残して経営のための資金に充てられます。

アパートやマンションなどの賃貸経営には下記のようなコストが定期的にかかります。

 

  • ローン返済
  • 管理委託費
  • 税金(固定資産税など)
  • 保険料
  • 光熱費
  • 原状回復費用
  • 入居者募集費用
  • 修繕費用 など

 

上記コストは家賃収入の有無に関わらず発生するため、ある程度の手元資金があるとキャッシュフローが安定しやすくなります。

また、手元資金は突発的な修繕費への備えや空室率改善のためのリノベーション・広告宣伝費などに充てることもできます。

 

レバレッジ効果を高められる

フルローンを利用することで、少ない自己資金で規模の大きな物件を購入でき、レバレッジ効果を高められる点もメリットです。

投資規模が大きくなればリターン(利益)も大きくなるため、効率の良い不動産投資が可能です。

〈関連コラム〉

不動産投資でレバレッジ効果を活用するメリット|自己資金別の借入額目安やリスク対策も解説

 

団信を最大限活かせる

フルローンに限らず、借入の際はほとんどの金融機関で「団体信用生命保険(団信)」に加入することが求められます。

団信に加入していると、契約者が死亡や高度障害など万が一の際に、残債が保険金で完済されるため、ローンのない物件を家族に残せます。

借入金額が高額なフルローンは万一の際のリスクも大きいため、団信に加入するメリットが大きいと言えます。

 

 

不動産投資でフルローンが利用できる銀行と金利相場

不動産投資でフルローンが利用できる銀行と金利相場

不動産投資でフルローンが利用できる金融機関の種類と、変動金利の相場を紹介します。

 

金融機関 金利相場(変動金利)
大手銀行・メガバンク 年2.70%~10.050%
大手信託銀行 年2.13%~2.725%
地方銀行 年0.95%~9.80%
ネット銀行 年1.57%~3.825%
日本政策金融公庫(新規開業資金) 年1.60%~3.30%

※金利帯は2025年2月時点の情報です。

 

不動産投資でフルローンは審査基準が厳しい

不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高めです。さらに、審査においても安定した継続収入の他に、現在の金融機関との取引や資産状況、事業プランの適正さなど、個人と投資物件に対するより高い信用力が求められます。

フルローンになると、頭金を入れるよりも借入金が多く、借入期間も長期になりやすいため、審査も厳しくなる傾向があります。

融資条件のハードルが高いため、審査に通らなかったり、希望額の融資を受けられなかったりする可能性もある点に注意が必要です。

 

 

不動産投資ローンの適正な返済比率

不動産投資ローンの返済比率は40~50%以下が理想です。

不動産投資における返済比率は「毎月の満室時家賃収入に対するローン返済額の割合」を指します。

返済比率が低いほど手残りが多くなり、多少の空室や修繕が発生しても対応しやすくなります。

例として、返済比率の違いによる、月の手残りのシミュレーションを紹介します。

 

〈シミュレーション条件〉

  • 物件価格:5,500万円
  • 表面利回り:7.20%
  • 満室想定年収:396万円(想定月収:33万円)
  • ローン返済比率:30/50/70%で比較
  • 運用時諸費用:満室想定月収の20%

 

返済比率 30% 50% 70%
収入 33万円 33万円 33万円
ローン返済額 9.9万円 16.5万円 23.1万円
経費 6.6万円 6.6万円 6.6万円
手残り 16.5万円 9.9万円 3.3万円

 

上記のように、返済比率が30%の場合、月の手残りが16.5万円あるのに対し、70%になると3.3万円しか残らなくなります。

返済比率が高いと家賃収入のほとんどをローンの支払いに充てることになり、少し空室や修繕が発生するだけでキャッシュフローが赤字になってしまう可能性もあるため注意が必要です。

 

 

「不動産投資でフルローンは危険」と言われる理由を失敗例で解説

フルローンで不動産投資をした場合のキャッシュフローのイメージ

フルローンを利用した不動産投資は、少ない自己資金でも大きな利益を得られる可能性がある一方で、リスクやデメリットもあります。

「不動産投資でフルローンは危険」と言われる理由を、失敗例を紹介しながら解説します。

 

【失敗例①】手残りが少なく経営に余裕がなくなった

フルローンは頭金ありのローンよりも借入額が大きく、金利も高く設定されるケースが多くなります。

通常よりも月々の返済負担が重くなるため、キャッシュフローに余裕がなくなりやすく、不測の事態などで経営状態が一気に悪化するリスクが高い点がデメリットになります。

 

【失敗例②】金利上昇で返済負担が重くなった

フルローンに限らず、変動金利を選択した場合は、返済期間中に金利が上昇するリスクがあります。

借入金額が多いフルローンは、金利が上昇した時の返済負担もより重くなる点もデメリットになります。

 

【失敗例③】予定外の支出や空室で返済が苦しくなった

月々の返済負担が大きいフルローンは、突発的に大規模な修繕が必要になったり、空室や家賃滞納等で月々の収入が大きく減少したりすると、返済が苦しくなるリスクも高くなります。

予定外の支出が発生した際、手元資金が少なくローン返済が滞ってしまうと、最悪の場合、物件を手放さなければならなくなるかもしれません。

 

【失敗例④】売却時にローンが残ってしまった

不動産投資では、状況に応じて売却や買い替えを検討するケースもあります。

フルローンで投資物件を購入した場合、売却して得た利益でローンを完済できないリスクが大きくなる点もデメリットです。

ローンが残っている物件は、自己資金などで完済できなければ抵当権を外すことができず、売却自体が難しくなります。

仮に売却したい物件の経営が赤字状態であれば、売却できずに所有し続けることで損失が増え続けてしまう悪循環に陥る可能性もあります。

 

 

不動産投資でフルローンに向いている人・物件の条件

フルローンが受けやすい物件の特徴

不動産投資でフルローンの利用に向いている方や、審査において評価が高くなりやすい物件の条件についてまとめます。

 

〈フルローンが受けられる可能性がある方〉

  • 安定した継続収入がある
  • 不動産以外に一定の金融資産がある
  • 土地を所有している
  • 共同担保にできる物件を所有している
  • すでに不動産投資で安定して収入を得ている

 

高年収の方や、預貯金や株式など不動産以外の金融資産が多い方は、返済に余裕が出やすいためフルローンの審査が下りやすくなります。

また、土地や他の投資物件を担保にすることで、無担保のローンよりも低金利で融資が受けられる可能性があります。

 

〈ローン審査で評価が高くなりやすい物件〉

  • 新築、築浅物件
  • 好立地、長期で需要が望める物件
  • 将来需要増が予想される立地の物件

 

新築や築浅の物件は資産価値が落ちにくいため評価が上がります。また、需要が見込まれて安定経営が望める立地の物件も同様に審査で有利になりやすいです。

 

 

まとめ

フルローンで不動産投資をする場合、自己資金を抑えてレバレッジ効果を高め、効率良く利益が得られるメリットがあります。

ただし、フルローンは金利変動や不測の事態によるキャッシュフローの悪化や、売却でローンが完済できないリスクも高くなるため、慎重に検討する必要があります。

フルローンは返済額が大きいことを踏まえて、空室リスクの少ない物件選定や、予定外の支出にも備えられる経営計画を立てた上で利用することをおすすめします。

未来の財託では、初めて不動産投資をされるお客様に対しても資金シミュレーションを作成し、銀行の融資のお手伝いから購入後の物件管理までワンストップでサポートします。

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