不動産投資ローンと住宅ローンの違い|自宅と収益物件両方でローンを組みたいときのポイントを解説
このコラムでは、不動産投資ローンと住宅ローンの違いや、マイホームと収益物件購入で2つのローンを両立する際の注意点を解説します。
不動産投資ローンの借入が住宅ローンの審査に与える影響や、マイホームと収益物件のどちらを先に購入するか検討するポイントも紹介。
初めての不動産投資をお考えの方や、マイホーム購入と資産運用の同時進行を検討している方は参考にしてください。
コラムのポイント
- 不動産投資ローンとは、アパートやマンションなど、家賃収入が得られる収益不動産を購入するためのローンです。収益不動産には、マイホームを購入するための住宅ローンは原則として利用できません。
- 不動産投資ローンは借入可能額が高く申し込み時の年齢制限がないなどの特長がある一方、金利は高めで物件の構造等によって借入期間が変わるなどの注意点があります。
- 不動産投資ローンでは、年収や保有資産などの個人の信用力に加えて、融資希望物件の収益性も重視されるため、立地選びや付加価値の高い物件づくり、緻密な経営計画が重要になります。
Contents
不動産投資ローンとは?
不動産投資ローンとは、アパートやマンションなど、家賃収入が得られる収益不動産を購入するためのローンです。
金融機関によっては「アパートローン」「投資用マンションローン」などの名称になっていることもあります。
不動産投資ローンを活用することで、自己資金以上の物件を購入できるため、レバレッジ効果によってより大きな収益が期待できます。
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不動産投資ローンと住宅ローンの違い
住宅購入に対する融資は不動産投資ローンの他に「住宅ローン」があります。
住宅ローンは、「自分が住むための住宅」の購入費用に充てる資金を借り入れるローンのため、原則として収益物件の購入には利用できません。
- 住宅ローン…マイホームの購入や増改築費用に対するローン
- 不動産投資ローン…家賃収入を得るための戸建てやアパート、マンションなどの購入費用に対するローン
また、生活の基盤となるマイホームを取得するための住宅ローンは、不動産投資ローンと比較して、より多くの人に利用しやすいように設計されています。
不動産投資ローンと住宅ローンの違いを詳しく解説します。
借入可能額
住宅ローンの借入可能額はフラット35が8,000万円まで、民間金融機関は1~3億円程度が目安です。
一方、不動産投資用ローンの借入可能上限額は金融機関によって1億円~10億円程度と幅があるため、選択条件によってはかなり大きな金額の融資を受けることも可能です。
ただし、ローンは誰でも上限額まで借りられるわけではなく、契約者の収入に対する返済額の割合(返済負担率)によって借入限度額が決まっている点には注意が必要です。
また、不動産投資ローンの場合、融資金額は購入する投資物件の収益性を元に審査されます。
住宅ローン、不動産投資用ローンの返済負担率の目安は以下のようになっています。
〈住宅ローン〉
- 年収400万円未満の場合…年収の30%まで
- 年収400万円以上…年収の35%まで
〈不動産投資用ローン〉
- 融資対象の投資物件で得られる収益の40~50%まで
金利
不動産投資ローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されていることが多いため、同じ借入額でも月々の返済額・総返済額が大きくなります。
2025年4月時点での、住宅ローンと不動産投資ローンの変動金利の相場を紹介します。
金融機関 | 住宅ローンの変動金利相場 | 不動産投資ローンの変動金利相場 |
---|---|---|
大手銀行・メガバンク | 年0.410%~2.875% | 年2.95%~10.300% |
大手信託銀行 | ‐ | 年2.29%~2.975% |
地方銀行 | 年0.975%~2.875% | 年1.20%~9.80% |
ネット銀行 | 年0.647%~3.775% | 年1.82%~3.85% |
政府系金融機関 | 住宅金融支援機構(フラット35)
年1.940%~3.930% |
日本政策金融公庫(新規開業資金)
年1.90%~3.60% |
※金利帯は2025年4月時点の情報です。
上記のように、変動金利の目安は大手銀行や地方銀行、ネット銀行では住宅ローンの年1%を切っているのに対し、不動産投資ローンは年1%~10%と金利帯に幅があります。
借入期間
住宅ローンの場合、完済時年齢は80歳未満で借入期間は最長35~50年が一般的です。
一方、不動産投資ローンの借入期間は最長20~35年程度で、融資対象の建物構造などの条件によってはさらに借入期間が短くなる可能性があります。
〈不動産投資ローンの物件の構造による借入期間条件の一例〉
- 木造…25年以内
- 軽量鉄骨…30年以内
- 鉄筋コンクリート…35年以内 など
審査基準
融資を受けるための審査基準は、住宅ローンより不動産投資ローンの方が厳しい傾向にあります。
住宅ローンの審査では、主に年収や資産状況など個人の属性によって審査が行われます。
不動産投資ローンでは、融資対象物件の家賃収入がローン返済の主な原資となるため、返済能力の基準として、個人の属性に加えて「投資物件の収益性」も重視されます。
年齢制限
住宅ローンの返済期間は、一般的な会社員の定年である65〜70歳未満までが上限となることが多くなっています。
一方、不動産投資ローンは主な返済原資が物件の家賃収入になるため、年齢制限がない、もしくは比較的緩い傾向があります。
ただし、年齢制限がなくても、物件収益性はもちろん、一定額以上の金融資産があるか、不動産投資の適正な事業プランを作成しているかなど、より高い信用力が求められることは知っておきましょう。
住宅ローンで収益物件を購入するとペナルティを受ける可能性がある
もし、住宅ローンで借り入れた資金で収益不動産を購入した場合、契約違反となり残債の一括返済を求められたり、金融機関からの信用を失い以後の融資が難しくなったりする可能性がありますので注意が必要です。
ただし、自宅部分が建物の延床面積の50%以上ある賃貸併用住宅を購入・新築する場合は住宅ローンを利用できます。
また、ローン返済中に転勤などのやむを得ない事情がある場合は、住宅ローンを継続したままで賃貸に出すことが可能です。
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不動産投資ローンと住宅ローンの両立は可能?
不動産投資を始めるのと同時にマイホームの購入も検討している場合、不動産投資ローンと住宅ローンの2つを併用して融資を受けることは可能です。
不動産投資ローンと住宅ローンの併用を検討する際に知っておきたいポイントをまとめます。
住宅ローンの借入があると不動産投資ローンの審査に影響する
ローンを組む際は、収入状況に加え、既存の借入額や返済履歴なども審査に影響します。
また、金融機関ごとに決められている収入に対するローンの総返済負担率は、不動産投資、住宅、マイカーなど、個人が契約しているすべてのローンを合わせて算出されます。
例えば、すでに住宅ローンを借り入れている状態で新たに不動産投資ローンを組む場合、既存の借入額によっては審査に通らなかったり、希望の融資額が下りなかったりする可能性があります。
不動産投資で収入が増えれば住宅ローン審査に有利になるケースがある
逆に、先に不動産投資ローンを借り入れている状態で新たに住宅ローンを組む場合も、既存の借入額が審査に影響する点は変わりません。
ただし、不動産投資の収益状況によっては、より有利な融資を受けられるケースがあります。
具体的には、不動産投資で安定して収益が出ている場合、年収が増えたとみなされて審査が通りやすくなったり、融資額が上がったりする可能性があります。
ただし、金融機関によって審査基準や方針には違いがあるため、安定した収益があるからといって必ず住宅ローンに有利に働くとは限らないため注意しましょう。
収益物件とマイホームはどちらを先に買うべき?
単純により良い条件で融資を受ける可能性を高めるなら、不動産投資ローンで収益物件を購入し、収入を上げてから住宅ローンの審査を受けるのが理想的です。
ただし、不動産投資では必ず思ったような利益が上げられるとは限りませんし、不動産投資ローンの借入額が高額で返済負担率上限に近い場合など、収入が増えても審査にそれほど有利に働かない可能性もあります。
ローンの条件だけでなく、「賃貸経営を早く始めて投資効率を高めたい」なら不動産投資を優先し、「今の家族に合った家に早く住み替えたい」という場合はマイホーム購入を先にするなど、現在の状況や将来のライフプランを踏まえて優先順位を決めましょう。
まとめ
不動産投資ローンとは、アパートやマンションなど、家賃収入が得られる収益不動産を購入するためのローンです。収益物件には、マイホームを購入するための住宅ローンは原則として利用できません。
住宅ローンと比較して、不動産投資ローンは借入可能額が高く申し込み時の年齢制限がないなどの特長がある一方、金利は高めで物件の構造等によって借入期間が変わるなどの注意点があります。
また、不動産投資ローンでは、年収や保有資産などの個人の信用力に加えて、融資希望物件の収益性も重視されるため、立地選びや付加価値の高い物件づくり、緻密な経営計画が重要になります。
オカムラホームは、初めて不動産投資をされるお客様に対しても資金シミュレーションを作成し、銀行の融資のお手伝いから購入後の物件管理までワンストップでサポートします。
また、東京・千葉エリアの不動産総合会社として、注文住宅新築や分譲住宅販売部門と連携し、マイホーム購入と資産運用を両立するプランについてもご相談いただけます。
一人ひとりの資産やライフプランに合った不動産購入をサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。