シロアリ予防は5年ごと必要か|無駄になるケースや正しい対策方法までわかりやすく解説
「シロアリ予防は5年ごとに必要」とよく耳にする一方で、「本当に5年ごとに対策する意味があるのか」「費用が無駄にならないか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、シロアリ点検も手がけている千葉の工務店「オカムラホーム」が、シロアリ予防は5年ごとに必要かわかりやすく解説します。
Contents
シロアリ予防が5年ごとに必要な理由
シロアリ予防を5年ごとに必要とする理由は、薬剤の効力が5年までしか保たないためです。
シロアリ予防に使用される防除薬剤は、環境への負荷を軽減するために、自然分解される薬剤へと変化してきました。
環境への配慮が進む中、防除薬剤の認定登録を行なっている公益社団法人日本しろあり対策協会では、「5年を超えて長期間有効な薬剤は環境によくない(※)」と判断し、認定薬剤の有効期間を5年までと定めています。
そのため、シロアリ予防を行なってから5年以上が経過すれば、薬剤の効力はほとんどなくなっており、再度防除処理を行わなければなりません。
上記の理由により、多くのシロアリ駆除業者は5年間の保証サービスを提供しています。
また、新築時に行われるシロアリ予防に関しても、5年程度しか効果は持続しないため、築5年以上が経過したタイミングで再処理を検討しましょう。
※引用:保証は5年となっていますが、なぜなのですか。 | シロアリQ&A | 公益社団法人 日本しろあり対策協会
シロアリ予防を5年ごとに行わないとどうなるか
シロアリ予防を5年ごとに行わない場合、薬剤の効果が弱まっているためシロアリの被害に遭いやすくなります。
例えば、築年数が10〜14年ほどの住宅では、シロアリ予防の保証が切れてから再処理を行わなかった場合、以下の通り被害率が上がっていきます。
保証切れからの経過年数 | シロアリ発生率 |
3年 | 14.3% |
10年 | 20% |
17年 | 50% |
※出典:国土交通省補助事業シロアリ被害実態調査報告書(2013)
定期的な予防処理を行わないことで、被害を受けるリスクは年々高まっていくため、シロアリ対策を徹底したい場合は5年ごとの予防が必要です。
シロアリ被害の築年数によるリスク
シロアリによる被害は、築年数が長くなるほど上がっていきます。
国土交通省補助事業の「シロアリ被害実態調査報告書(2013)」では、シロアリ予防の保証切れから1年が経過した住宅について、次の結果が報告されています。
- 築年数が25〜29年の住宅では、シロアリの被害率が20%近くまで上がる。
- 築年数が40〜54年の住宅では、シロアリの被害率が20〜30%ほどとなる。
- 築年数が80〜84年の住宅では、半数近くがシロアリの被害に遭う。
築年数が長いにも関わらず定期的なシロアリ対策を怠った場合、リスクは高まっていくばかりです。
一方、シロアリ予防の保証が切れていない住宅については、次の結果が報告されています。
- 築年数が10年未満の住宅であれば、シロアリの被害は0%に近い。
- 築年数が10年以上となっても、シロアリの被害率は4〜6%ほどとなる。
- 築年数が40年以上であっても、被害率は10%未満にとどまる。
上記を考慮すると、定期的なシロアリ予防の重要性は、築年数が増えるごとに高まるといえます。
※出典:国土交通省補助事業シロアリ被害実態調査報告書(2013)
シロアリが家にいるのか気になる方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
【関連記事】シロアリがいる家の特徴と対策|シロアリ被害を防ぐための基礎知識
シロアリ予防で依頼できること
シロアリ予防を業者に依頼する場合、主に次の2つの工法が採用されます。
バリア工法
床下の木材部分や土壌に薬剤を散布して、シロアリの駆除と予防を同時に行う工法です。
薬剤の有効期間は5年ほどなので、定期的に薬剤を散布してもらう必要があります。
即効性に優れ予防効果が高く、コストも比較的リーズナブルであることから、シロアリ対策の中でももっともメジャーな工法です。
しかし、化学物質過敏症の方など、家の中に薬剤を撒きたくない方にはおすすめしません。
ベイト工法
ベイト工法は、住宅の外周にベイト剤(毒餌)を撒くことによって、シロアリを駆除する工法です。
ステーションと呼ばれる筒状のケースにベイト剤を入れ、働きアリが巣へと持ち帰ることで巣ごと根絶できます。
バリア工法のように多くの薬剤を散布しないため、小さなお子様やアレルギー体質の方がいるご家庭でも問題ありません。
安全かつ駆除効果が高い点はメリットですが、効果が出るまで数ヶ月から半年ほどかかり、バリア工法の費用と比較して2倍ほどとなる点に注意が必要です。
シロアリ予防が無駄になってしまうケース
定期的に対策を行うことは、シロアリ予防において基本的には効果的です。
しかし、次の3つに該当する場合は、シロアリ予防が無駄になってしまうと考えられます。
- 築5年未満の住宅の場合
- 過去5年以内に防除処理を実施した場合
- 雨漏りや漏水がある場合
築5年未満の住宅の場合
新築住宅では、建築基準法によって防蟻処理が義務付けられています。
そのため、基本的には5年間保証の防蟻処理がされており、この期間内は別途予防を行う必要がありません。
万が一5年間の保証期間内に被害が発生した場合は、防蟻処理を行なった工務店、ハウスメーカーなどが対応します。
過去5年以内に防蟻処理を実施した場合
シロアリ予防に使用される薬剤は、約5年間ほど効果が持続します。
そのため、過去5年以内に処理した箇所には、再度薬剤を散布する必要がありません。
すべてが無駄とはなりませんが、すでに薬剤の効果がある箇所のため、重複して防蟻処理をするのはもったいないといえます。
雨漏りや漏水がある場合
住宅に雨漏りがある、漏水が発生しているという場合、薬剤を散布しても水で薄まってしまいます。
また、湿気の多い空間となってしまい、シロアリの動きを活発化させてしまうので、雨漏りや漏水の修繕を優先しなければなりません。
シロアリの発生理由として水漏れの影響が考えられる場合、まずは修繕すべき箇所がどこか洗い出しましょう。
シロアリを予防するために自分でできること
業者への依頼だけでなく、自分でできるシロアリ対策も少なくありません。
業者による防除処理と平行して、次にあげる3つの対策もできる限り行いましょう。
シロアリの餌となるものを放置しない
シロアリによる被害を予防するには、木材やダンボールといったシロアリが好むものを家の周囲に放置しないよう心がけましょう。
ダンボールはいつの間にか溜まりがちですが、屋内ではなく屋外に放置してしまうと、木材を原料としているためシロアリを引き寄せてしまいます。
シロアリが来ないように薬剤を撒くのに加え、餌があると思わせないことが重要です。
通気性の確保
家の通気性を確保し、シロアリが好むような暗くて湿気の多い空間をなくしましょう。
換気を良くすることによって、湿気がこもらず乾燥した空間となり、シロアリにとって暮らしにくい家となります。
また、基礎部分の通気口が塞がれてしまうと、床下が換気されずに湿気が増えるため、通気口前は何もない状態としてください。
湿気の溜まりやすい箇所については、次のような細かな対策も行なっておくことをおすすめします。
- 浴室・洗面室などの換気扇は付けたままにする
- 浴室のタイルに割れ目があったらすぐに修繕する
- 和室の畳は定期的に裏返して乾燥させる
- 押し入れの底にはすのこや防湿シートを敷いておく
- 雨で濡れた傘や靴を玄関に放置しない
建物や周辺の環境整備
シロアリ予防を行うには、家やその周辺の環境整備まで考慮する必要があります。
まず、建物周辺にものを置くことはできる限り避けましょう。
外壁付近に荷物を置いている場合、置かれた場所に日光が届かず、暗くて湿度の高いシロアリ好みの場所になりかねません。
また、家の基礎部分に水漏れやひび割れがないのかも確認が必要です。
修繕すべき箇所はないか確認した上で、シロアリ予防に進むべきか考えましょう。
まとめ
シロアリ対策は、一般的な薬剤の有効期限が5年間であることから、防除処理が5年ごとに必要です。
シロアリ予防を定期的に行わない場合、行なっている住宅と比べてシロアリ被害率が高まります。
築年数の経過とともにシロアリのリスクも増えていくので、「一度対策したから問題ない」と判断するのは避け、5年ごとの定期防除を心がけましょう。
また、多くの工務店・ハウスメーカーにおいてシロアリ予防の保証期間は5年である一方、オカムラホームでは10年保証としております。
5年を目安に定期点検を行いますが、より長い期間にわたって安心を提供しておりますので、リフォームにあわせてシロアリ点検や駆除も検討中の方はお気軽にご相談ください。
お問い合わせ
お問い合わせいただきましたお客様には
担当者より順次対応をさせていただきます。