玄関土間の天井を一部空けてオープンに。今は金属屋根で覆われていますが、その中には昔ながらの萱葺きの屋根がひっそりと隠れているのです。玄関土間から吹抜けを見上げると、今ではなかなかお目に掛かれない立派な小屋組みとともに、萱葺き屋根の裏側を愛でることができます。建物の性能面については、現代の生活に合うよう、断熱材を施しています。また、構造についても、現代で言う「耐震」の考えとは違い、基礎がない建物がゆえ、制震ダンパーを採用することで地震の力を吸収し、建物の揺れを軽減できるよう設計いたしました。

外観
外壁には、杉の下見板、通称「鎧張り」を採用。「鎧張り」とは、実は類似品は全世界の木造建築に見られるものなのですが、特に古来日本では、板を平坦に張るよりも雨水の浸透を防ぎやすく、また土壁だけでは防げない冬の寒さを軽減する役割を果たしておりました。
土間
こちらは120年前の、「作業場・厨房兼集いの場」であった土間を復元しました。炭煤は防虫・防腐効果もあり、とくに茅葺屋根の保護には最適だったため、当時は土間だけオープン天井となっていた住宅も多く、竈の火を昼間一日中絶やさないようにしていたとのことです。
囲炉裏
土間続きの囲炉裏室は、家事・家族団らんを育む重要な空間でした。また特にこちらの古民家は、裏の竹林の自然が見事なこともあり、今回はこちらの竹林の四季折々を愛でられるよう、北川の窓を額縁仕立てにしました。

Before・After

住宅再生専門店 ヴィンテージ木ここち
ヴィンテージ木ここちでは古民家再生を中心に様々なリノベーションを行っております。ただ壊すだけではない、時を経るほどに価値の増す家づくりを是非ご覧ください。

設計コメント

築約120年の古民家の大掛かりな改修工事でした。荒れ果て 傾いた建物を、柱・梁といった構造体を残して 解体し、 状態のいいところは残しつつ、着工から仕上げまで、元素材と終始向き合い、丁寧に丁寧に進めてゆきました。